2020年12月に、神奈川県大和市にひっそりとオープンし業界の話題を集めた「Palette(パレッテ)高座渋谷店」(以下、高座渋谷店)。同店はイオン(千葉県/吉田昭夫社長)が「新生活様式に対応した未来型ディスカウントストア(DS)」を掲げ開発した新業態の1号店だ。パレッテとはどのような店で、イオンのねらいは何か。品揃えや売場、価格を独自調査し、その実態に迫った。
(調査日:2月13、18、27日)※本文中の価格はすべて本体価格
コロナ禍の空き物件へ進出を図る業態!?
高座渋谷店は小田急江ノ島線「高座渋谷」駅から西へ約350mにある。建物構造は2階建てで、もとは1階にあった中古品引き取り・販売の「ハードオフ」が2階に移転し、その居抜きに出店している。
周辺の競合店については、北隣にはいなげや(東京都/本杉吉員社長)の食品スーパー(SM)「いなげや大和高座渋谷店」が、西隣にはツルハ(北海道/八幡政浩社長)のドラッグストア「ツルハドラッグ大和渋谷店」があり、イオン系列のチェーンが至近にある。また、北東へ約600mの高座渋谷駅東側ではイオンリテール(千葉県/井出武美社長)の総合スーパー「イオン大和店」も営業している。そのほか駅西口すぐの場所に「新鮮激安スーパー」を掲げるSM「ビッグヨーサン高座渋谷駅前店」がある。
イオン傘下のDS業態には、人口密集地域に出店する小型の「ビッグ・エー」「アコレ」と、広域から集客する大型の「ザ・ビッグ」がある。これに対して「パレッテ」は売場面積が歩側で約420坪と中型のDSである。
イオンはなぜこの立地に、新たな中型のDS業態を出店したのか。そのねらいはいくつか考えられる。まず、新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大下で低価格志向が高まるなか、成長が見込まれるDS業態の拡大を図ろうとしていること。また、コロナ禍では業績不振に陥った紳士服量販店や飲食店業態の撤退が相次いでいる。そうしたなかイオングループとして、新たに生まれる空き物件に出店し、既存の業態とすみ分けを図りながらも商圏内の食品市場のシェアを高められる業態の開発を試みているのではないだろうか。
パレッテ開業に当たってイオンは
・・・この記事は有料会員向けです。続きをご覧の方はこちらのリンクからログインの上閲覧ください。