価格を上げずに品質を維持!セコマの商品が付加価値ではなく“削減価値”である理由

聞き手:阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
構成:フリーランスライター:松岡由希子
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SPA大

北海道を地盤に店舗展開するコンビニエンスストアチェーンのセコマは、創業時からSPA(製造小売)を志向してきた企業だ。地域の生産者との密接な連携により生み出される商品は、競合の追随を許さない圧倒的な独自性を誇り、同社の絶大の支持の基盤となっている。なぜ、セコマは「食のSPA(製造小売)企業」として成長することができたのか。丸谷智保会長に聞く。

創業当初からSPAを志向 足元ではマスクも開発

──セコマで地域に密着したSPA(製造小売)の事業モデルが進化してきた背景について教えてください。

丸谷智保セコマ代表取締役会長 
まるたに・ともやす●1954年生まれ。79年慶應義塾大学卒、同年北海道拓殖銀行入行。98年シティバンク エヌ・エイ入行、2007年セイコーマート入社(現・セコマ)、同年専務。08年副社長、09年3月代表取締役社長、20年4月代表取締役会長就任(現任)。内閣府経済財政諮問会議政策コメンテーター、北海道経済連合会常任理事、NACS International Board of Directors就任。セコマ代表取締役会長

丸谷 1971年の創業当初は、売り手であるメーカーの力が買い手の小売業者よりも強い時代で、小規模な小売チェーンは、自社で商品を開発・製造したり、調達先を独自に開拓していく必要がありました。そこでセコマでは、創業当初から、自社の総菜製造工場を稼働させ、北海道の地域産品を中心とした原材料の調達先の開拓や海外からのワインの直輸入などに取り組み、それを徐々に拡充させてきました。その結果、自社のDNAとしてこれらが深く根付いています。

──現在の商品開発体制や製造体制はどうなっていますか。

丸谷 商品部のもとに各商品開発チームを配置しているほか、輸出入部やセコマグループのメーカーにも商品開発の担当者がいます。

 セコマでは、原料生産や製造を担う子会社12社を中心に、食のSPAに向けて必要な機能がグループ内に揃っています。製造工場の生産設備をリニューアルして生産効率を上げたり、洋菓子メーカーのシェフグランノール(北海道札幌市)と和菓子メーカーの三栄製菓を合併して多能工化を進めるなど、既存の機能をさらに磨いています。商品開発や調達先の開拓を分業で行いやすくなり、調達先との接点も多様に広がってきました。

 コロナ禍においては、経済産業省からの要請を受け、大規模災害に備えるため、非食品の分野にも初めて着手しました。マスク製造工場を稼働させ、20年8月に「Secoma 肌ざわり、なめらか国産不織布マスク」を発売、6カ月で400万~500万枚を販売しています。

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聞き手

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

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