セブン、セコマ、神戸物産・・・オンリーワン商品で無競争状態を作る 食のSPA 化!

小野 貴之 (ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長)
Pocket

商品の「価値」をどう伝えるか

「クイーンズ伊勢丹品川店」(東京都港区)のPOP
独自商品を自社の武器としていくには、その「価値」をお客にどう伝えていくかが重要となる。写真は21年3月に「クイーンズ伊勢丹品川店」(東京都港区)で撮影

 最後に、商品の「価値」を伝えることの重要性についてもふれておきたい。

 本特集の取材に応じたセブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイ)の常務執行役員グループ商品戦略本部長の石橋誠一郎氏が、情報発信の重要性を示すあるエピソードを披露している。

 セブン&アイグループが展開する「セブンプレミアム」において、サラダチキンをリニューアルしたときのこと。同商品はブームが一段落して販売が低調だったが、リニューアルで商品名に「糖質0g」と表記したところ、再び上昇軌道に乗ったというのだ。

 ここで重要なのは、「もともとサラダチキンに糖質は含まれていない」という点だ。つまり、あえて商品名に表記したことでお客に「価値」が伝わり、売上増につながったのである。

 せっかく独自商品を生み出しても、その「価値」がお客に伝わらなくては販売につながらない。POPでの商品説明や陳列、パッケージデザイン、イベント開催など、「商品力に長けている」といわれるチェーンは、商品の「価値」を訴求するための情報発信にも力を入れている。本特集では有力各チェーンの商品開発の取り組みをレポートしているが、「商品開発力」だけでなく、独自商品を売り込んでいく「販売力」にも注目してほしい。

1 2 3 4

記事執筆者

小野 貴之 / ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長

静岡県榛原郡吉田町出身。インターネット広告の営業、建設・土木系の業界紙記者などを経て、2016年1月にダイヤモンド・リテイルメディア(旧ダイヤモンド・フリードマン社)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属し、小売企業全般を取材。とくに興味がある分野は、EC、ネットスーパー、M&A、決算分析、ペイメント、SDGsなど。趣味は飲酒とSF小説、カメラ

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態