セブン、セコマ、神戸物産・・・オンリーワン商品で無競争状態を作る 食のSPA 化!
企業規模は関係なし?「ローカライズ」で勝つ!
では、食のSPA企業は実際にどのようにして商品開発に臨んでいるのだろうか。商品の独自性という観点において最も先行しているのは「業務スーパー」を展開する神戸物産だろう。
同社は国内外に26の自社工場を有する“正統派”のSPA企業であり、「オンリーワン」をめざした商品開発を目下推進中だ。「既存の設備、工場のラインを活用する」という発想のもと、「牛乳パックデザート」をはじめこれまでマーケットになかった個性的なPB商品を次々と投入し、顧客の厚い支持を得ている。
前述のとおり、神戸物産のようなモデルは簡単に真似できるものではない。だが、成城石井(神奈川県/原昭彦社長)も、現西友CEOの大久保恒夫氏が社長を務めていた時代に、セントラルキッチンの稼働率を高める施策を推進して収益性を大きく改善。営業利益率9%超という現在の高利益体質を築いた経緯を持つ。SPA化を志向していくうえでは、工場をはじめ自社の資産をどう活用していくかがポイントになることはいうまでもないだろう。
そしてもう1つ、今後の食品小売におけるMDの“勝ちパターン”の1つとなりえそうなのが「ローカライズ」を重視した商品開発である。
日本の食文化は多様であり、地域によって食習慣は大きく異なる。そのため、全国共通のNBでは拾いきれないニーズも多い。そうしたニーズを、地域の消費者を熟知した小売業が拾い上げるという商品開発の方向性だ。
たとえば、長野県を地盤とするツルヤ(掛川健三社長)では、地場メーカーとの共同開発による「長野県産」を切り口としたPB商品を大量に投入し、顧客から絶大な支持を集めている。その評判はお客だけでなく、業界関係者にも届いており、「商品づくりはツルヤさんから勉強させてもらっている」という開発担当者も少なくないという。
ここで特筆したいのは、ツルヤがローカルSMであるという点だ。中堅・中小といわれる規模チェーンでも、本特集がいうところのS P A化を推進し、独自化を図っていくことは十分に可能なのである。