大戸屋の新戦略に見る 中食市場獲得に動く外食の打ち手

森田俊一(流通ジャーナリスト)
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百貨店やSC内に
総菜小売店を出店へ

 大戸屋の動きで注目したいのが、販売チャネルを拡大し、中食ニーズの取り込みを強化している点だ。

 同社は今年2月から総菜小売事業をスタート。百貨店やショッピングンセンター(SC)での店舗拡大をめざす総菜専門店「大戸屋おかず処」を立ち上げ「西武池袋本店」(東京都豊島区)で実験的に営業してきた。これを3月末から「そごう横浜店」(神奈川県横浜市)でも期間限定オープン(3月30日~4月12日)するほか、4月には「そごう千葉店」(千葉県千葉市)にも出店する。

 「大戸屋おかず処」は、国産野菜と出汁にこだわったメニューが特徴だ。それぞれの素材に合わせて、鰹、鶏、昆布、野菜の4種の出汁を使い分けた総菜や弁当を販売する。

大戸屋が神奈川県横浜市にオープンした新業態カフェ「MMマーケット&カフェ」
大戸屋が神奈川県横浜市にオープンした新業態カフェ「MMマーケット&カフェ」

 そのほか同社は今年1月下旬、神奈川県横浜市のみなとみらいエリアに新業態カフェ「MMマーケット&カフェ」もオープンしている。同店ではテイクアウト・デリバリーにも対応するデリカテッセンを充実させるほか、ミールキットや専門店と共同開発したスイーツの販売などにも挑戦している。

 大戸屋マーケティング本部長の橋澤順氏は「同店は住宅街でのお客さまの需要を掴むための実験店。当社は「大戸屋」以外のさまざまなチャネルを構築してお客さまの意見を聞き、変革する時期にある」と述べている。

 これら大戸屋の新戦略から見えるのは、外食チェーンがこれまで培ってきた専門性の高い調理のノウハウや、ネームバリューも生かして、中食需要の奪取に大きく動きだしている姿だ。こうした外食の動きはさらに進んでいくことが予想され、近年食品スーパーが需要を取り込んできた中食市場はコロナ禍を機に、いっそうハイレベルな戦いへと発展していきそうだ。

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