ブランド品の在庫を持たず、アートを展示 コメ兵の南青山サステナブル店舗が見据えるSDGsのかたち

2021/03/11 05:55
    油浅健一
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    なぜアートを取り扱うのか

    店内はリユース店ではなく、完全にギャラリーといった佇まい
    店内はリユース店ではなく、完全にギャラリーといった佇まい

     同店舗を統括する藤原氏は「この店舗ではディスプレイ商品以外の在庫をなくし、KOMEHYOオンラインで選んだ商品を取り寄せ、実際に見て、触れて、確認してから購入するスタイルです。KOMEHYOにとって初めての試みとなりますが、これまでと同じ満足感のあるお買い物体験を提供していくことを目指します」と出店の意気込みを語った。

     『モノは人から人へ伝承(リレー)され、有効に活用(ユース)されてこそその使命を全うする』という独自の概念に則り、単なる再利用ではなく、そこに新たな価値を生み出しながら意味のある循環にこだわり続ける同社。同店舗は、この思想をさらに推進する上で大きな意味を持つという。カギを握るのが、ギャラリーに展示されるアートだ。

     力強さ、悲しさ、辛さ、明るさ。どの作品からもすさまじいエネルギーが発せられている。アーティストの力はいうまでもないが、実は作品の素材は全て産業廃棄物。アフリカ・ガーナのアグボグロシー地区のスラム街。そこに大量に山積みされた産業廃棄物に工具や筆を使い、現地の悲惨な状況を目の当たりにし、感じた想いを吹き込んでいる。

    廃材アートで実現する社会課題の解決

     その地に降り立ち、有害物質にまみれた廃材からアートを生み出すMAGO CREATION代表で美術家の長坂真護氏は言う。「ゴミは先進国が不法投棄した産業廃棄物です。それによって現地の人々は環境悪化や健康被害、貧困に苦しんでいる。廃材アートは、それを解決するための一つの手段。とはいえ、芸術家が世界を変えるのは社会性が乏しい。ですから、今回のKOMEHYOさんとの業務提携のように、みんなで世界を変えていけるような取り組みにシフトしていきたい」。

     かたやブランド品、かたや産業廃棄物。素材こそ対極だが、モノを再利用し、新たな価値を生み出す点ではやっていることは共通している。それが、廃材アートと同店舗をつなげた。藤原氏は「ここはリユースとサステナブルアートがコラボレーションした店舗。サステナビリティに共鳴するお客様が、ブランドリユースだけでなく、『MAGO GALLERY』でのお買い物を通して、ぜひ循環型社会に参加していただきたい」と力説した。

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