“リピーター獲得合戦”を勝ち抜くためにリアル店舗でもLTVが重要なワケ

染谷 剛史(ナレッジ・マーチャントワークス株式会社 代表取締役)
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新規顧客向けの販管費も削減可能

 現在、多くの店舗サービス業の経営指標は、四半期ベースの損益計算書や貸借対照表、店舗数、売上高、客数、客単価の推移などですが、これらは経営をマクロ的に見るための指標です。しかし、それだけでは「この売上には、誰が、いくら貢献してくれているのか」という中身がわかりません。もし、リピーターが少なく、一度きりの顧客でほとんどの売上がつくられていた場合、新規顧客を獲得し続けるための費用が延々とかかることになります。一方、リピーターが増えていけば、新規顧客のために使っていたマーケティング費用を徐々に減らし、利益の残る収益構造をつくり出すことができます。

新規顧客を獲得するには、既存顧客の5倍のコストがかかる
新規顧客を獲得するには、既存顧客の5倍のコストがかかる

 マーケティングの経験則的な考え方に、「1対5の法則」というものがあります。これは、「新規顧客を獲得するには、既存顧客の5倍のコストがかかる」というものです。たとえば、商品を買ってもらうために、既存顧客に対しては1万円のコストで済むのに対し、新規顧客には5万円かかります。リピーターを多く抱えている店舗の場合、販管費のうち「特売チラシ」や「クーポン」などの新規顧客獲得費用を削減できます。そのぶん、「リピーターをつくり出すための付加価値施策」や「よりよい顧客体験(CX)の創出」などのために投資することが可能となるのです。

LTVを軸にスタッフの意識や行動を変える

 テクノロジーの発展とともに、今後も商売のあり方は変わっていきます。今も定額制のサブスクリプションサービスの普及によって、音楽や動画配信だけでなく家具なども「売る」から「貸す」に変わっており、食品も定額制のサービスが次々と登場しています。これからは多くの商材がサブスクを軸に提供されると予測されています。

 リアル店舗でも「売る」ことがゴールではなく、顧客と長期間にわたって良好な関係を築くために「店舗のスタッフが何をすべきか」「店舗はどんなサービスを提供すべきか」を考え続ける必要があります。LTVでリピーターがどの程度いるのかを可視化することで、スタッフの意識を「売っておしまい」から、「売った後も満足してもらえるための関係をどう築くか」に変えることも可能となります。LTVを指標にした経営を実践することで、スタッフの意識・行動の変化を促し、いち早く顧客に選ばれ“続ける”店舗づくりを行いましょう。

 

プロフィール

染谷 剛史 (そめや たけし)

1976年、茨城県生まれ。大学卒業後リクルートグループに入社。アルバイト・パートの求人広告営業を経て、営業企画・商品開発を担当。2003年、株式会社リンクアンドモチベーションに入社し、サービス業の採用・組織コンサルティングに従事。2012年に同社の執行役員に就任し、新規事業開発やカンパニー長を歴任した後、2017年にナレッジ・マーチャントワークスを設立。

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