お母さん食堂問題にLAGAR事件 ファミリーマート復活のカギを握るのがマーケティングである理由

坂口孝則(未来調達研究所)
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ファミリーマートPB「お母さん食堂」
何かとネガティブなニュースが続いたファミリーマート。復活のカギは、やはり“マーケティング力”にある

不振のファミマを襲った2つの“事件”

未来調達研究所 坂口孝則 氏
未来調達研究所 坂口孝則 氏

 コンビニエンスストア(CVS)大手、ファミリーマート(東京都/細見研介社長)の業績が、新型コロナウイルス(コロナ)禍で低空飛行を続けている。親会社の伊藤忠商事(同/鈴木善久社長)も最新決算で、ファミリーマートの不振を認めた。

 伊藤忠商事は2 0 2 0 年に5800億円を投じてファミリーマートを完全子会社化、エース級人材を同社に投入し、アプリ強化や収納代行サービスの拡充、プライベートブランド(PB)商品の開発拡充など、さまざまな施策で立て直しを急いでいる。3月1日には伊藤忠商事執行役員の細見氏が新社長に就任し、舵取り役を担うことになった。

 そんなファミリーマートをめぐってはここ最近、世間の注目を浴びる出来事が2つあった。1つは、PB「お母さん食堂」の名称が、女性と炊事をステレオタイプに結びつけているのではないか、とネットを中心に議論を呼んだこと。2つめは、サッポロビールと共同開発したビール「開拓使麦酒仕立て」のラベルに、本来「L A G E R」とすべきところを「LAGAR」とスペルミスしたまま製造してしまったことである。

 前者の“お母さん食堂問題”については、本連載で前回触れた「ワークマン女子」など、“性”が前面に出ても好意的にとらえられる場合もあるし、社会がどこまでを許容するかという問題でしかない。後者の“LAGAR事件”は、当初は販売中止を発表したものの、食品ロスを問題視する世間の目もあり、表記ミスはそのままに発売することになった。結果として宣伝になり、販売促進に寄与したといえる。

 いずれも意図的に仕掛けたマーケティング施策ではなく、話題として沈静化した。しかし、マーケティングの領域でこうしたネガティブなニュースが重なったことは、決して褒められた話ではない。他方、ファミリーマートは

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