NRF2021で女性CEOたちが語った!逆境をチャンスに変えるリーダーシップとマネジメントの極意

2021/02/26 05:58
平山幸江(在米リテールストラテジスト)
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毎年1月にニューヨークで開催されるNRFビッグショーは、今年初めてヴァーチャルとなっただけでなく、例年なら圧倒的に男性が占める講演者の30%以上を女性とした。アメリカでは女性がキャリアウーマンとしてバリバリ働いているイメージを持つ日本人が多いが、労働人口における女性比率は高くても、管理職やCEOのほとんどは未だに男性が占めている。フォーチュン500社における女性CEOの数は2020年8月に過去最高を記録したもののわずか38人だ。ちなみに男性を含む黒人は5人、ヒスパニック系は誰もいない。
1月22日の「変動の時代をリードし成功する」というセッションでは、小売業界で実績を重ねてCEOの座を獲得した女性たちが、コロナショック後の経営について語っている。そこからは、逆境をチャンスに変えるリーダーシップとマネジメントの極意を学ぶことができる。

共感とボランティアの精神が企業の強みに 「企業も消費者も共に助け合って生き抜く」

Mindy Grossman, President and CEO, WW International, Inc.

 ウェイト・ウォッチャーズ・インターナショナル(Weight Watchers International、以下WW社)。57年の歴史を持つ同社は、ダイエット食品・レシピ、ダイエット誌、オンラインの体重管理ツールなど、ダイエット全般に関わる製品とサービスを提供する大手企業だ。同社CEOのミンディ・グロスマン氏は、ラルフローレン、ナイキを経て2006年にTV通販のHSNCEOに就任後、同社をライフスタイルメディアとして改革、IPO(新規株式公開)に導き、2017年にWWCEOに就任した。
 WWでも事業領域を「痩身」から「ウェルネス」へと拡大し、業績回復を果たしている。フォーブスの「世界で最もパワフルな女性100人」に5回選ばれ、NRFでは2015年から17年まで取締役会会長を務めた。

 一方サプリメント販売大手のザ・ヴァイタミンショッペ(Vitamin Shoppe、以下VS社)のシャロン・ライテ氏は、ウォルトディズニー、ギャップ、インテリアチェーンのピア1インポート等を経て2018年にVS社CEOに就任した。

ザ・ヴァイタミンショッペCEO、シャロン・ライテ氏(出所:同社提供)
ザ・ヴァイタミンショッペCEO、シャロン・ライテ氏(出所:同社提供)

 両社は在宅時間の長期化により、精神的なストレス緩和や心身の健康管理へのニーズが拡がる健康とウェルネス市場を基盤としている。VS社の調べによると、消費者の56%はストレスを和らげ、バランスを求める新しい方法を探しているという。そこでVS社は202011月に、大麻草に含まれる健康成分・カンナジオール(CBD)を配合したプライベートブランド商品を発売し、一部の商品は完売した。

 一方、WW社はコロナ前には毎週3万本の対面セッションを提供していたが、感染拡大後は12都市でヴァーチャルに切り替えた。また11月にはAIを使って健康とウェルネスをカスタマイズして管理できる会員制プラットフォーム「マイWWプラス」を運営開始した。ここでヴァーチャルコンサルテーション、ヴァーチャルワークショップ、カスタマイズしたコンテンツ、会員間でのコミュニケーションなどを提供する。グロスマン氏は「人々はヴァーチャルであっても一体感を欲しがっている」とコメントした。同社はまた、低所得者10万人を無料で会員に招待している。

 2021年1月、両社は戦略的パートナーシップを組み共同ブランド「WWバイ・ヴァイタミンショッペ」を立ち上げ、サプリメント、スナック、WW会員制度を双方の販路で販売開始した。コロナによる追い風が吹いているとは言え、両CEOは「企業同士も協力し合うことが今、非常に重要だ」と述べた。グロスマン氏は「共感とボランティアの精神は10年前には企業にとって弱みだったが、現在は大きな強みとなっている。企業も消費者も共に助け合い、励まし合いながら1つのコミュニティとして生きていくことが今の世界には大変に重要だ」と述べた。

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