ドラッグストアの針路 #3 “マツキヨ・ココカラ連合”誕生は大型再編の前哨戦!?

森田俊一(流通ジャーナリスト)
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大手は水面下でパートナー探し!?

 だが、1兆円近い規模を手にするとはいっても、決して手放しに喜べる状況ではない。

 インバウンドの復活が「2~3年は見込み薄」(ある百貨店関係者)ということに加え、足元では、ウエルシアHDやツルハHDといった大手が食品スーパーからの顧客を奪取せんと生鮮食品を強化中だ。しかも現在、ウエルシアHDとツルハHDの“2強”は統合後のマツキヨHDとココカラに売上高規模でひたひたと迫っている。ウエルシアHDは21年2月期に売上高9541億円、ツルハHDは21年5月期に売上高9200億円を計画しており、マツキヨHDとココカラの21年3月期売上高予想の合算に肉薄する。

 ツルハHDの鶴羽順社長はかねて「業界は3、4社に集約される」と話しており、今後の大型再編の可能性も示唆する。同社は20年5月にJR九州傘下だったドラッグイレブン(福岡県)を子会社化しており、全国規模のチェーンストアを完成させようとしている。

 こうしたM&A(合併・買収)戦略が奏功すれば、同社が公表している24年5月期までの中期経営計画で掲げる「店舗数3000店、売上高1兆円」を前倒しで達成することも期待される。

 マツキヨHDとココカラの経営統合に触発され、「大手は水面下でパートナー探しを始めているのではないか」と(ドラッグストア業界と取引のある大手メーカー幹部)と冗談と本気ともとれないような発言も聞く。マツキヨ・ココカラ連合の誕生は、大型再編勃発の転換点であるのもしれない。

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