写真や映画でもなんでもOK!自分の趣味を実店舗の顧客獲得につなげる方法

成田直人
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映画でリピーター獲得に成功した美容室

 携帯ショップの事例では、取り扱い商品であるスマホと店長の趣味の写真は関連性が高いものでした。しかし、ときには全く関連性がない趣味が店舗の付加価値となることもあります。

 とある地方の美容室の話をしましょう。このクライアントは、初回割引のクーポンを使用した後のリピート率に課題を感じていました。美容室の魅力となるカットやカラー、パーマなどの技術についてはアドバイスできないため、スタッフが無理しなくても長く続けていることや好きなこと、これは誰にも負けないことなどを集め、付加価値として提供できないかを話し合いました。

 すると、ある女性スタッフが「私は自分の仕事と同じくらい映画が好きです」と言ったのです。一見、美容室と映画はなんの関連もなさそうですが、実はこれでも付加価値を創出できるのです。

 その女性スタッフは「ほぼ毎日映画を見ています」という一言を名札に添えるようにしました。するとお客から「映画好きなんですか?」と聞かれるようになり、「あの映画いいですよね〜。とくにこのシーンとか・・・」など、お客と共通の趣味で盛り上がるようになりました。

 もちろん、映画に興味がない人もいるため、あくまでも映画が好きなお客と盛り上がるためのネタとして考えてもらっています。映画に関心がない人に「私映画が好きで!」というのは逆効果なので。

 映画の話題で盛り上がったお客には、ほぼ確実に「おすすめの映画ありますか?」と聞かれます。彼女は過去に見た映画の中からおすすめを紹介し、とても喜ばれたそうです。

 この映画紹介がリピート率向上にもつながりました。紹介してもらった映画が面白ければ、その感想を話したくなるものです。技術が優れているのはもちろんですが、映画がきっかけでリピーターになるお客が激増しました。さらに、お客による新規の紹介も増え、「常に映画が好きなお客さまに囲まれ、仕事がさらに楽しくなった」と彼女は言っていました。

仕事と直接関連性がなくても付加価値になり得る

 このように、付加価値をつくるにあたっては仕事内容とは一見何も関係なくても問題ありません。もちろん反響がなければ、やめて違う付加価値を探せばよいのです。大切なのは、チャレンジし続けることです。

 お客が自分の店舗を選ぶ、選び続けるハードルは今後も上がり続けていくことでしょう。オンラインサービスもこれからさまざまな業界の実店舗のお客を奪いにかかります。ただ「オンラインのせいだ!」と嘆いても売上は1円も上がらないし、状況は1ミリも好転しません。

 常に自分自身を磨き、商品やサービス以外の付加価値は何かを探し続けること、見つかったらアップデートし続けることが重要です。単にお客の欲しい商品やサービスを提供して儲かる時代はもう終わりました。「変わり続けること」を店舗・会社の文化にできるように率先垂範で挑戦していきましょう。

 

なりた・なおと
19歳でABCマートアルバイト個人売上日本一を獲得。マネージャーになり昨年度対比1位、2位の原動力となる。その後、PC専門店PCデポに入社し、7ヶ月で個人売上1億円を達成。翌年、「良い」よりも「成果が出る」をモットーに小売・サービス・飲食業専門コンサルティング会社「株式会社FamilySmile」を創業。現在は、一部上場企業を中心にコンサルティング・研修・講演を手がけ多くの店舗で昨年度対比120%を達成。中には、3年で売上2倍になる店も続出するほどコンサルティングには定評がある。その功績が認められ日本三大褒章の一つ中小企業のノーベル賞と言われる「東久邇宮文化褒章」を受賞。セミナー講師ナンバーワン決定戦「S-1グランプリ」初代グランプリを獲得。

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