売上約10倍の書店に、2日でフォロワー2300倍の中小メーカー!デジタル時代のマーケティング実践例!

2021/02/22 05:58
    油浅健一
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    業績拡大を実現した海外の3つのデジマ事例の共通項 

     国内外の3事例が、デジマによって人の「心」を動かし、成功をつかんだとすれば、次の海外3事例は人の「行動」を動かし、成果につなげた事例といえる。

    オーストラリアのマイヤーがクリスマスシーズンに売り出したいい子か悪い子かをランプの色で判定するツリーに飾り付けるボール

     ひとつ目は、オーストラリア最大の百貨店『マイヤー』の事例。施策は、いい子か悪い子かがランプの色で分かるクリスマスツリーに飾り付けるボールの販売。至ってシンプルだが、実は親が手動で判定する仕組みと結果がデジタルサイネージで大々的に街頭で告知されることなどが大きな反響を呼び、ランプはバカ売れ。来店者も増大した。結果、同百貨店は10年続いていたクリスマス商戦の赤字にピリオドを打ったという。

     ふたつ目の事例はフランスのペットフード会社プリナの取り組みだ。内容は、犬の健康診断が浸透していない課題に対し、おしっこをしたくなるような電柱型のデジタルサイネージを街中に設置。尿から健康状態を診断し、サイネージ上に結果と推奨ペットフードを掲示するというもの。いかに売るかでなく、売る前段階の行動を促すためにデジタルを活用し、見事に結果にもつなげている。

     最後は、 オーストラリアの損害保険会社『IAG』の事例だ。この会社が行ったのは、デジタルを活用した保険料の最適化。事故が起こってからでは高額になりがちな保険料を抑えるため、定期点検を受ければキャッシュバックする仕組みを構築し、加入者とのウィンウィンを実現。デジタル活用で保険業界に浸透する仕組みを破壊し、新たな需要を創り出した。 

    D2C dotプロデュース1部 プランナー/プロデューサーの菅原太郎氏
    D2C dotプロデュース1部 プランナー/プロデューサーの菅原太郎氏

     菅原氏は、これら3事例について「消費者とのタッチポイントにおける既存のプロセスをどう変えていくかという視点でデジタルを活用している点が共通項。なにも直線的に集客につなげるだけがデジマではないのです」と解説。その上で、「デジマやDXというとなにか難しく、そして温度感のないイメージを抱かれがちですが、そんなことありません。今回紹介した事例のように温かみのある取り組みにも生かされ、そして成功につながっているのです」と菅原氏。

     コロナ終息はいまだ見通せない状況だが、ここで紹介した事例から、2021年のデジマ施策の方向性ハッキリと見通せるのではないだろうか。

     

    ◎参考事例
    The Writers’ Shop – Open Shelves -(ハンガリー / 書店)https://www.youtube.com/watch?v=xQEv8ktXQPs

    Myer – Naughty or Nice Bauble Case Study(オーストラリア / 百貨店)
    https://vimeo.com/314448387

    Purina – Street-Vet(フランス / ペットフード)
    https://www.youtube.com/watch?v=WppJbTCu5Ac

    IAG – Safety Hub(オーストラリア / 損害保険)
    https://www.youtube.com/watch?v=ihcNJ8dnpq8

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