商品、個店経営、開発、財務……業界屈指の高収益チェーン ヤオコーが最強の理由

「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部 小野貴之
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「チェーンとしての個店経営」とは

 ここで忘れてはならないのは、「チェーンとしての」と枕詞がつくものの、ヤオコーは「個店経営」の企業であるという点だ。

 ヤオコーが「個店経営」のSMチェーンであるという事実は、意外と知られていない。ヤオコーは01年3月期を初年度とする3カ年の第3次中期経営計画(中経)の中で「個店経営の推進」を初めて掲げ、川野清巳前社長のもと、個店経営への転換を図ってきたという経緯がある。ヤオコー個店経営の礎を築いた名コンサルタントの島田陽介氏は「地域に密着する店舗が、商圏の特性や消費者の需要に柔軟に対応し、店づくりを主体的に実践するのが『個店経営』だ」と説明する。

 ただ、店舗調査でも明らかにしているが(電子書籍P.58)、ヤオコーの商品づくりや売場づくり、価格政策のほどんどは標準化されている。仕入れや販促の権限の大部分を個店に委譲する、オオゼキ(東京都/石原坂寿美江会長兼社長)のような個店経営とは一線を画する。ヤオコーの個店経営のベースとなっているのはあくまで「チェーンストアの基本」であり、前述のインフラ整備を含めたローコストオペレーションに向けた仕組み化と、個店経営を両立させることで、ヤオコーは高い収益性を実現している。

 もう1つ、ヤオコーを語るうえで欠かせないのが、同社の“提案型”の商品政策(MD)である。ヤオコーが創業時から商勢圏としてきた埼玉県は、東京方面につながる縦の道路はあるものの、県内を横断する道路が少なく、広域型の大型店が成立しにくいという特徴がある。狭商圏、あるいは面積は広くても人口が少ない限定小商圏で生き残るため、ヤオコーは商圏内のあらゆる客層の需要を取り込むことを迫られる。

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 そうしたなかで生まれたのが、「ソリューション」の発想だ。「この商品を使ってこんなメニューができます」「こんな食生活はいかがですか」──。顧客の満足を追求し、売場の競争力を高めることで差別化を図る、それがヤオコーの提案型のM Dというわけだ。ソリューション提案の発想は、時代の流れとともに「食生活提案型スーパーマーケット」という名称に変わり、現在はヤオコーの代名詞となっている。

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