第266回 ダイエー中内㓛が専横した「男の侠気の世界」

文=樽谷哲也(ノンフィクションライター)
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評伝 渥美 俊一(ペガサスクラブ主宰日本リテイリングセンター チーフ・コンサルタント)

「公私混同的体質」と「人情家」とは

 前回、ダイエーの中内㓛と弟たち、そして父との、溝が深まっていくばかりの相剋(そうこく)について記したところ、少なからぬ反響をいただいた。企業規模が大きくなるにつれ、兄弟それぞれの主張や性格がより旗幟(きし)鮮明となっていくさまの妙味もさることながら、「ウエテル」こと上田輝雄という食肉加工会社を営む人物の存在が強い印象を放っていたからでもあると思われた。

 私は上田輝雄に会ったことはなく、大下英治『中内㓛のダイエー王国』(現代教養文庫・1993年)や佐野眞一『カリスマ 中内㓛とダイエーの「戦後」』(日経BP社・1998年)など、先人の仕事に学び、そして渥美俊一の証言から人物造形に努めている。

 ダイエーの精肉部門に格安で商品を卸しつづけ、その成長を後押しした上田輝雄の経営する食肉加工会社「ウエテル」の取締役に、

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