通勤客が激減する駅ナカ店舗も実は好調 不況・コロナ禍でも、成城石井が絶好調な理由

兵藤雄之、松岡由希子(フリーランスライター)、「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部 大宮弓絵
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値下げに依存せず
不況を新たな成長機会に

 ここで注目したいのは、コロナ禍で成城石井が付加価値の提供によって売上を伸ばしている点だ。

 「コロナ不況」という言葉が現実味を増すなか、「不況下の小売業界」ということで思い起こされるのは、08年のリーマン・ショック後に発生した値下げ競争の激化だ。当時、成城石井は前出の大久保氏の指揮のもと、値下げに依存するのではなく、デパ地下と同等品質の商品を2~3割ほど安く提供する付加価値を追求し差別化を図る路線を貫いた。その結果、百貨店や高級SMの業績が伸び悩んでいたなか、同社ではリーマン・ショックから半年後に業績が急激に伸びたという。現在の足元の業績を見ると、今回のコロナ・ショックも今後想定されるコロナ不況も、成城石井にとってさらなる成長機会となることが予見される。

 一方、SM各社は現在、高まる節約志向に対抗するべく次々と値下げ施策を打ち出し始めている。商品の値下げだけでは、粗利益率が悪化するうえ、他社との差別化は図れず、同質飽和化が進むSM業界で勝ち抜くことは難しい。そうしたなか、今こそ、成城石井の取り組みから学ぶべきではないだろうか。

 最後に、成城石井の今後の成長可能性について触れたい。

 データ調査会社ニールセン(東京都)の「ショッパートレンド調査」によると、あくまで同調査での理論上ではあるが、成城石井は現在の売上高の10倍近い市場売上高シェアがあってもよいブランド力を有しているという。この結果からすると、同社の出店・成長余地はまだまだあるといえそうだ。

 現在、成城石井は1都2府16県で店舗を展開する。近年は年間10~15店ペースで積極出店しており、毎年、未開拓の都道府県にも新店を開業。20年には岡山県1号店をオープンし、中国エリアへの進出を果たしている。今後もこのペースで出店を続ければ、あと数年で店舗数は200店を突破する。そうなれば規模のメリットを生かしたさらなる付加価値の提供も可能になるだろう。成城石井の躍進はまだ始まったばかりなのかもしれない。

成城石井 会社概要
※業績、店舗数は2019年度

所在地 神奈川県横浜市西区北幸2-9-30横浜西口加藤ビル5階
代表者 代表取締役社長 原 昭彦
設立 1927年2月
資本金 1億円
業績 売上高:938億2900万円、営業利益:92億2900万円
総店舗数 182店(直営店:154、フランチャイズ店:21、飲食店:7)

 

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