激動の流通 #2 再び存在感増す食品スーパーの「天敵」

森田俊一(流通ジャーナリスト)
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食品スーパーの対抗策は

 食品スーパー各社はこうした状況をどう打破しようとしているのか。2020年に引き続き、21年以降も有力な手段として期待されるのが、「小商圏・高占拠型の店づくり」(大手食品スーパー幹部)である。

 たとえば、ヤオコーが19年にオープンした「東松山シルピア店」(埼玉県東松山市)では、総菜コーナーで「味噌だれ焼き鳥」「焼きおにぎり」など、東松山市で親しまれている名産品を品揃えすることで、地域色を強く打ち出している。

 ドラッグストアが食品部門を強化している現在、地域住民が慣れ親しんだ商品を導入するという、地道な地域密着の取り組み、取りこぼしのない商品政策が、21年以降の食品スーパーには求められそうだ。

 足元では、Genky DrugStores(福井県:以下、ゲンキ―)やクスリのアオキホールディングス(石川県)といったドラッグストア企業が生鮮食品の導入を推し進めており、食品スーパーの“領海侵犯”が顕著になっている。

 現段階では、ドラッグストアの生鮮食品売場は、専門企業に運営を委託しているケースが多い。しかし今後は、ゲンキーのように本格的な生鮮や総菜の売場を自前で運営するドラッグストアチェーンが増えることが予想される。

 コロナ禍の行方が依然不透明な中、21年の食品スーパーは、ドラッグストアを筆頭とする異業種との激しい競争にさらされるのは必至だ。迫る競合に対し、食品スーパーはどう戦うか。「食品スーパーに求められるのはやはり、小商圏・高占拠型の店づくり」(ある経営コンサルタント)であるのは確かだろう。

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