アフターコロナのEC通販になぜ「物流」戦略が必須なのか

2021/01/13 05:55
高山隆司 スクロール360常務取締役、佐藤俊幸 もしも取締役マーケティング事業本部長

新型コロナウイルス感染症拡大で需要が急拡大したEC通販。そのなかでは平時と同じく遅滞することなく購入希望者に届けられた企業もあれば、注文が殺到したことでその対応が後手後手になってしまった企業もある。その差を生んだのは受注処理や物流などの業務をいかに効率よく整備してきたかにある。ネット通販をサポートするスクロール360常務高山隆司氏ともしも取締役佐藤俊幸氏の著書「EC通販で勝つBPO活用術」から、その一端を紹介する。

アマゾンの施設
EC通販のカギを握る物流。アフターコロナにおいてその重要性はさらに増している。(2019年 ロイター/Lucas Jackson)

物流を制するものがアフターコロナを制する

  新型コロナウイルスの感染が急速に拡大する中、人の動きが止まり、店舗が閉まった。そのため EC 通販には大きな追い風が吹いた。ECに買い物客が殺到したのである。しかし、せっかく注文が増えたにもかかわらず、物流キャパをオーバーして発送が遅れまくりチャンスを逃した EC ショップが少なくない。一方で、大量の注文に対してもコロナ以前と変わらず、日々のオペレーションを悠然とこなし、乗り切った EC ショップもある。

 実際、スクロール360が物流を受託している EC ショップの中には、前年同月比10倍もの売上アップを記録しながら、出荷遅れもなく、コロナ特需を取り組むことができた企業がある。逆に、世間では物流のキャパオーバーで注文客を何日も待たせ、レビューが炎上したショップも続出した。

 その差はどこにあったのか。物流アウトソーシングを適切に活用できたどうか、である。EC通販業界では「物流を制するものがアフターコロナを制する」と言っても過言ではない。本章ではアフターコロナでの物流アウトソーシングのやり方や EC 物流事業者を選ぶポイントなどを解説していく。

 20201月に自社物流を諦め、スクロール360の物流センターに移転してきた EC 事業者がある。様々な手芸用品を販売しており、「生地の切り売り」が人気のショップだ。それまでは自社ビルの中に在庫を置き、社員が出荷作業を行っていたのだが、フロアが2階層に分かれ、トラックが停車するバースもないなど、たいへん苦労をしていたという。

 そこで、スクロール360の物流センターに物流業務を丸ごと、アウトソーシングしたのである。アウトソーシングして2か月後の3月、新型コロナウイルスの感染拡大で注文が爆発した。手作りマスクの生地注文が殺到したのだ。最高で11200枚の生地をカットして、出荷した。

 また、生地の仕入れも強化したため、パレット積みの生地が大量に入荷し、移転当初の500坪をはるかにオーバーしたため、物流センターの保管ラックを拡張した。もし20201月に物流移転を決断していなかったら、どうなっていたか。タイミング的にギリギリだったと言える。

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