メーン商品は“規格外野菜”、スーパー「ゼンエー」がめざすフードロス削減とそれを支えるSNS集客

「ダイヤモンド・チェーンストア」記者 若狭靖代
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SNS販促でぶつかった“壁”

 ただ、興味のある人だけを対象にした効率のよい販促を可能にするSNS販促にも、良い面ばかりあるわけではなかった。一つは、利用しているプラットフォームの仕様変更のあおりを受けやすいということだ。ゼンエーがメーンで使用してきたLINEは、2020年1月から一斉メッセージの送信が従量課金制になった。情報発信のほとんどをLINEメッセージで行ってきたゼンエーとしては大きな痛手だ。そのため、8月にリリースしたアプリへと情報発信の場を移行しつつあるという。しかし、ある程度積極的な顧客でなければアプリのダウンロードまでは結びつかない。LINE上に形成してきた顧客グループを、アプリへどう誘導するかが現在の課題だ。

 二つめは、SNS上でどうやって露出を増やすかという問題だ。広告を出稿する方法もあるが、店舗数の少ないゼンエーではチラシ同様、費用対効果が低くなりやすい。人力でのSNS運用で興味を持ってくれるユーザーを増やす必要があるが、「初期には思ったように(SNS上で)拡散せず苦心した。ありとあらゆる方法を試した結果、Instagramへの動画投稿が一番レスポンスが良かった。今でもTwitterは反応がよくない」と植田社長は話し、女性ユーザーの多いInstagramとSM販促の親和性が高かったことが伺える。

植田全紀社長の写真。
全栄物産 植田全紀社長。

フードロス削減の拡大に取り組む

 今後、ゼンエーは「3年で計10店舗程度まで拡大を目指す」と植田社長。個人客に向けた店舗での販売はもちろん、今後は加工用途での飲食店向けの販売や、フードロス削減の理念に共感できる企業との協業などの可能性を探っていくという。「大量に生産・輸入し、大量に捨てる今の世の中はどこか歪んでいると思う。(ゼンエーの店舗の存在が)フードロス問題に興味を持ってもらえるきっかけになれば」とも植田社長は語った。

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