デジタル化における店舗の役割を再定義する ユニクロが世界の大都市に店を建てる理由

2020/12/01 05:59
河合 拓

これからの店舗の役割は4つ

 まとめよう。店舗は家賃と人件費が高いため、EC化が拡大した後は、ムダな店は閉められ、数は大きく減ることになる。そして、店舗の役割は以下のように大きく変わることになる。

  1. 店舗は広告宣伝の場となり、立地の良さと大きさ(目立ちやすさ)が勝敗を決す
  2. 店舗は、ブランド化に成功した企業だけが商品やサービスの「体験場」とでき、「受注場」であるECへの送客窓口となってEC比率は拡大する
  3. 店舗は“売る店舗”としての価値は消えず、女性が持つ「お買い物の楽しさ」を味わう場として君臨し続ける。”売らない店舗“と”売る店舗“は役割を替え共存する
  4. 店舗は、試着やカスタム・オーダーを通したサイズ計測場となり、形の複雑な靴、女性下着、パンツなどのサイズデータを企業のデータベースに組み込み、以降、ネットで購買してもサイズに悩まない(現時点の自動採寸技術は未成熟なものばかりで実用に耐えない)

*リテーラーは、ささげ業務(サイズ計測、撮影、原稿書き、の総称。ネット販売の基本業務)の中でも、特にサイズ計測をしっかり行い、同じ寸法の商品は来年も同じであることをきっちり管理することが前提となる。あるいは、これからは、消費者が自分のカラダの寸法を知っておく必要がある。 

 以上である。企業は、店舗に上記4つのミッションをしっかり与え、例えば、3が赤字でも1に意味合いがあれば存続させるなど、一面的なものの見方を止め、複雑に関連し合う事業性をいかに測るかという技術を進化させなければならなくなる。従来のような単店舗管理指標である店舗坪効率や貢献利益率など、古典的教科書に乗っている計測手法は役に立たなくなることを知るべきだ

 

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プロフィール

河合 拓(事業再生コンサルタント/ターンアラウンドマネージャー)

河合拓氏_プロフィールブランド再生、マーケティング戦略など実績多数。国内外のプライベートエクイティファンドに対しての投資アドバイザリ業務、事業評価(ビジネスデューディリジェンス)、事業提携交渉支援、M&A戦略、製品市場戦略など経験豊富。百貨店向けプライベートブランド開発では同社のPBを最高益につなげ、大手レストランチェーン、GMS再生などの実績も多数。東証一部上場企業の社外取締役(~2016年5月まで)

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