流通M&Aの深層 #5 ドン・キホーテ躍進の原動力

2020/11/30 05:55
森田俊一(流通ジャーナリスト)

ユニー再生の行方は

 こうしてGMS再生のノウハウを獲得したドン・キホーテはユニーを買収し、再生に乗り出している。すでにドン・キホーテとユニーのダブルネーム店舗に転換した25店舗(稼働1年未満の店)は、売上高(20年6月期)が転換前との比較で40%増、粗利益高では同36%増と驚異的な成績を残している。

 従来型のGMSだったユニーを再生させる原動力となっているのが、徹底した現場への権限委譲だ。安田氏のいうところの「現場の知恵と工夫」が、ダブルネームの店舗を活性化させた。従来型のGMSでは、本部人員が強大な権限を保有し、店舗を主導する立場にあった。本来、現場は膨大な情報の宝庫であるにもかかわらず、店舗を従属化していた。こうしたチェーンストアの在り方にアンチテーゼを唱え、不合理な体制を店舗段階から作り直し、体系化したのがドンキ流の組織改革だ。

 ドン・キホーテの成功を受け、同様に大手GMSも店舗に権限を委譲する運営手法を模倣する動きが見られたものの、「明日から権限を与えるから仕入れも店舗運営も好きにやれ」と言われても一朝一夕にできるものではない。

 安田氏はかつて「個店が地域ナンバーワンにならなくてはならない」と語ったことがある。現場の知恵や創意工夫といった個店レベルの取り組みがドンキ躍進の原動力となったことは間違いないだろう。

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