ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営11 ポストコロナはセールが不要になる
統一セールは必要か?セールを続けたがる“謎”の理由
毎年、百貨店や駅ビルからセール開始日発表されるが、とてもおかしなことだと常々思っている。プロパーの立ち上がりや新作の発表が話題になるのならともかく、在庫処分のセール日の期日はそんなに重要なことなのだろうか。
「セールは日頃のお客様への感謝」という方がいる。しかし、自分が正価ですでに買ったものが安く売られているのを喜ぶ顧客がいるのだろうか。
「セールは統一することで盛り上がる」と言う。でも残品を処理する行為を盛り上げる必要性はあるのだろうか。
セール売上が前年を越えると喜ぶ。しかし、セールが前年を越えるのは、よほど在庫が余っていたか、お客さまがプロパー価格に納得していないのか、そのどちらかではないか。
テナントに聞くと「館(ショッピングセンター<SC>)がやるから仕方ない」と統一セールを良く思っていない企業も多い。
では、なぜセールをやるのか、と聞くと「セールはモチベーションを作る」とこれまた意味不明な回答が関係者からは返ってくる。
各社は、春夏秋冬の節目に売上を大きく作ることをめざしているわけだが、セールの開催時期が1月と7月なのは流通企業に多い決算期の期末と中間期(2月、8月)に合わせたものであり、在庫処分と期末の追い込みに合わせているに過ぎない。暖冬だろうが寒かろうがそんなことはお構いなしに行われる。
確かに年間を通して平坦な販売体制より年間の途中に何度か盛り上がりを作るとスタッフの働き甲斐も高まるので現場のモチベーションに好影響を与えるということは理解できるが、あまりに事業者論理ではないのか。