第262回 ライフコーポレーション清水信次が語った、ダイエー中内と夏の敗戦

2020/11/21 05:50
文=樽谷哲也(ノンフィクションライター)

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評伝 渥美 俊一(ペガサスクラブ主宰日本リテイリングセンター チーフ・コンサルタント)

「菜っ葉1把、大根1本」

 初めて会った主婦の店ダイエーの中内㓛に、名刺を差し出すや、一瞥(いちべつ)をくれただけで「俺は、小売りって言葉、嫌いなんや」と居丈高な嫌味をいわれた繊維小売新聞の記者だった田中政治は、自らの仕事をいきなり否定されたようで、むかっ腹を立てた。

 「大売りだよ、これからは」

 のちの流通王は、長いつきあいとなる人びとに、あくの強い不 遜(ふそん)な印象を刻みつけていく男であった。

 超繁盛店として日本中にその名が轟(とどろ)く中内が勝ち誇った表情でそうつづけるのを聞いて、40年も前の記憶を生なましく振り返るように「腹ん中じゃさ、なにをいってんだよ、と思ったね」と田中はこめかみに青筋を立てた。

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