ツルヤ前橋南店がベイシア本社近くにオープン ツルヤらしさを出しながら、ローカライズを進める売場づくりとは?

阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
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ツルヤ前橋南店の売場づくりは?

 次にツルヤ前橋南店の売場づくりについてみていきたい。前橋南店は旗艦店の軽井沢店と同等の広さという印象で、地元紙報道によると約3500㎡(軽井沢店は約3300㎡)である。 

 ツルヤの店作りは、売場レイアウトや商品政策(MD)が全店舗でほぼ共通しており、標準化が極めて進んでいるのが特徴だ。前橋南店の場合も既存店と同じレイアウトが採用されており、主通路上は青果からはじまり、反時計周りに鮮魚、精肉、総菜、ベーカリーと続く。平場では酒類、日用品、加工食品、和洋日配を展開し、過度な装飾が一切ないすっきりした売場づくりを行っている。また、青果から鮮魚に至る直線上に中通路が設けられていないのが特徴で、鮮魚まではお客をワンウェイで誘導する。

 その青果売場では、オープンセールということもあり、2ケタ売価の商品を軸にかなり低価格訴求をしていたのが印象的だった。レタス1玉79円(税抜き以下同)、えのき茸各種1袋79円、ふじりんご・名月りんご1玉99円、ツルヤオリジナルのカットサラダ各種(100~120g)1袋69円といった具合だ。もっともお客が集中していたのがこの青果売場だった。一方、鮮魚、精肉売場は混雑はあまり見られず、お客はゆったりと買い物していた。精肉では宮崎黒毛和牛ロース肉100g799円など特売品を随所に差し込んでおり、また、鮮魚売場では刺身の品質が高かったのが印象的だった。

 総菜は揚げ物、弁当、丼、寿司など一通りのカテゴリーを網羅しているが、全体的には売れ筋を中心とした構成。ただ、「アボカドグラタン」といったユニークなメニューを用意したり、「信州名物からしいなり」「ゆずいなり」店内手詰めの「やわらかいなり」「バラエティいなり」などいなり寿司だけで複数SKUを展開しているのは競合他店にはない独自性だと感じた。

 ベーカリー売場も盛況で、その期待の高さをうかがわせた。インストアベーカリー以外にもツルヤ契約工場直送のパンが同店の大きな特徴となっており、ドライフルーツの甘味だけで砂糖・油脂を使わない「ルヴァンスティック」(1本289円)、スイスの伝統製法パン「石窯パリスエッテ醍醐味」(1本419円)などが並ぶ。

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記事執筆者

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

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