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テイクアウト利用比率4割をめざす! サイゼリヤ「ミラノ風ドリア」に 特化した新業態の狙い

「ファストフード市場はブルーオーシャン」

 
 「日本のファストフード市場は未成熟で、ブルーオーシャン。将来的には国内で3000店以上を展開できる新たなファストフード業態を開発したい」。

 イタリアンレストランチェーン「サイゼリヤ」を展開するサイゼリヤ(埼玉県)の堀埜一成社長が、「ダイヤモンド・チェーンストア」誌のインタビューで語った言葉だ。

 実はあまり知られていないが、サイゼリヤは国内で勝ち残るための1つの道とするべく、長い年月をかけてファストフードの新業態開発を進めている。

11月9日にグランドオープンしたサイゼリヤの新業態「ミラノ食堂」(東京都中央区)

 その最新の実験店舗として11月9日にグランドオープンしたのが、新業態「ミラノ食堂」(東京都中央区)だ。場所は東京メトロ「茅場町」駅から南西約300m。飲食店やオフィスが立ち並ぶエリアのオフィスビル1階に入る。

サイゼリヤの名前はあえて打ち出さない。「チェーン名を出すと、メニューを比較することにお客さまの意識がいってしまうため」だそうだ

 「ミラノ食堂」は、「サイゼリヤ」の看板メニューである「ミラノ風ドリア」を中心に提供するのが特徴だ。

 「サイゼリヤ」では、来店客が複数のメニューを組み合わせて楽しむ食事スタイルを志向し、単品ごとの分量を多すぎないようにしている。

 これに対して「ミラノ食堂」では、「ミラノ風ドリア」のサイズを1.5倍と1食で満足できるボリュームで提供する。そうすることで、顧客回転率を高めるとともに、テイクアウト利用の比率も向上させるねらいだ。

昼のピーク時にも商品を30秒ほどで提供

席数は34席と少ないため、顧客回転率を高めるとともにテイクアウト比率も向上させたい考えだ

 客席数は約30席。1人当たり滞在時間は約15分を見込む。

 来店客は入店後、カウンターで注文し隣の窓口で商品を受け取る。ほとんどのメニューがテイクアウト可能だ。

 顧客回転率とテイクアウト利用比率を高めるために工夫した点の1つが、「ミラノ風ドリア」を短時間で提供可能にすることだ。加熱条件を変更するとともに、熱伝導の具合や厚みが最適な専用のアルミ容器を使用することで、「サイゼリヤ」では約6分かかる調理時間を約4分に短縮させた。

 コンベクションオープンで1度に18個焼成可能で、昼のピーク時には来店客がオーダー後30秒ほどで商品を受け取れる体制をめざすという。こうした工夫によりテイクアウト利用比率については全体の4割ほどまで高めたい考えだ。

短時間で完食できる
メニューを中心に提供

 メニューは、ランチタイムはドリア3種のほか、パスタ3種、ドリアにサラダ・スープがつく「ザ・定食」(イートイン限定)を提供。17時以降には、サイドメニューやスープ、アルコールもラインアップに加えて、しっかり、素早く済ませられる夜ごはん「サパー」を提案する。

ランチタイムメニュー一覧
「サパー」タイムメニュー一覧

 筆者は当日、イートイン限定の「ザ・定食」をいただいた。ドリアの上にカレー、小エビのフライ、温泉卵がトッピングされていて、サラダにスープを合わせて総重量1㎏というボリューム満点のメニューだ。
 ただ、スプーン1本で食べ進められるメニューであることと、カレーや温泉卵のとろみもあり、食べるのが遅いという弱点を持つ筆者でも、10分ほどで完食できた。

イートイン限定の「ザ・定食」(オープン記念価格で税込1000円)
ドリアに加えることでさまざま味わいが楽しめる「味変アイテム」を用意して、飽きさせない工夫も行う
「味変アイテム」の一部で、切干大根にウスターソースと梅の風味をそれぞれ加えたもの。大根の食感がアクセントになるほか、さっぱりした味わいがドリアによく合う

 サイゼリヤはこれまでにも、スパゲッティ専門店「Spaghetti Mariano(スパゲッティ マリアーノ)」やカフェ「リフレスカ」などを実験的にオープンしており、今年2月には「ファストカジュアルレストラン」と銘打った新業態の小型パスタ専門店「伊麺処(パスタドコ)」を東京・浅草と新宿に出店している。

 サイゼリヤ執行役員新事業本部長の上田諭氏は「ドリアに特化したファストフード業態の市場があるのかしっかり見極め、多店舗化を検討したい」と話す。

 「ミラノ食堂」はファストフード市場を開拓する新規チェーンとなるか。その利用動向に注目だ。

「ミラノ食堂」概要
所在地   東京都中央区日本橋兜町 16-5  Y‘s ビル1F
営業時間    ランチタイム 11:00~15:00 、サパータイム 17:00~22:00 (年中無休)
店舗面積         34 坪