上期客単価が8.8%伸びたセブン-イレブン コロナ禍であえて小容量品を拡充するねらい

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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将来的には生鮮素材の提供も
内食ニーズへの対応強める

 次に、バターロールといった「食事パン」の充実だ。食事メニューやお酒とともに楽しめるようなパンを、家族で一緒に食べられるように複数個入りで販売する。その一環の商品として10月21日には、3のチーズを使用したモチモチした食感が特徴の「ポンデケージョ」(178円)を発売している。

「ポンデケージョ」税抜178円。そのまま食べても、食事に合わせて楽しめる食事パンを充実させる
「ポンデケージョ」税抜178円。そのまま食べても、食事に合わせて楽しめる食事パンを充実させる

 また、生鮮素材の販売も強化する。現在、すでに冷凍のカット野菜などを提供しているが、内食ニーズに対応するべく「今後はミールキットや素材自体の提供も視野に入れている」(高橋本部長)と言及している。

 さらに売場での訴求を強めていくのが、酒類の提案だ。これを実現させるべく、セブン-イレブンはレイアウトの変更に踏み切って売場から改革する。

 酒類売場を、デイリー商品(サンドイッチ、麺類、サラダ、総菜など)の隣に変更して関連購買を促す(下図参照)。9月上旬に新レイアウトを先行導入した173店では日販(タバコを除く)が対前年同期比で1万5600円増加する効果が出ており、20年度中に8000店に導入する考えだ。

 

新レイアウトのイメージ。セブン-イレブンの公表データをもとに編集部で作成
新レイアウトのイメージ。セブン-イレブンの公表データをもとに編集部で作成

 

このようにセブン-イレブンは、商品を組み合わせて購入してもらえるような商品展開や、売場改革を推進することで、客数減を補う客単価向上を実現し成長につなげようとしている。そして、中食だけでなく内食需要への侵攻を本格化させる方針も打ち出した。

 他方では、外食業界がテイクアウトやデリバリー強化を進める動きもあり、食品スーパーが本丸とする家庭の食卓ニーズを取り込む戦いはいっそう激化していきそうだ。

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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