九州エリアで最大の事業高(小売業の営業収益に相当)を誇るエフコープ(福岡県/堤新吾代表理事理事長)。同生協は約20年前から宅配事業の将来的な成長を見据え、ラストワンマイルの配送作業をすべて自前の生協職員が担う体制構築を推進。近年ではSNSやスマホアプリを活用して若年層の利用獲得に力を注ぎ、宅配事業の供給高、経常利益をともに伸長させている。
「利用登録」推進で毎週の注文率は8割超!
エフコープの2019年度の供給高(同商品売上高に相当)は、宅配事業が462億円(対前年度比2.6%増)、店舗事業は95億円(同0.3%減)。ここ数年の傾向として、宅配事業は安定的に成長し、店舗事業も供給高を維持している。全体の経常剰余(同経常利益に相当)についても伸長傾向にある。
主力の宅配事業の好業績を支える要因の1つが、組合員の利用頻度、利用額の向上だ。エフコープでは近年、商品登録サービス「いつもくん」の利用を促進している。購買頻度の高い300品目を対象に、事前登録しておけば自動的に商品が毎週の注文品に含まれる。組合員にとっては注文忘れを防げるほか、毎回決まった商品を注文用紙に記入する手間が省ける。そうして時間が浮けば、別のページや商品にも目を通せるようにもなる。
同サービスはほかの地域生協でもみられるが、エフコープでは年始をはじめ注文が減少しがちな時期に、登録商品を追加すると粗品を進呈する利用促進策を実施するといった独自の工夫を重ねている。
その結果、19年度エフコープの「いつもくん」登録者は組合員全体の約6割に達した。その効果もあって、宅配利用者の毎週の注文率は16年度比で5ポイント改善の約80%まで高まり、「いつもくん」の平均登録点数は同1.1倍の約3.5点と伸長している。
ラストワンマイルの自前化実現させた2つの施策
もう1つ、宅配事業の好業績を支えるのが、その配送体制だ。
現在多くの生協では、自前で補いきれない配送業務を外部業者や関係子会社に委託しているが、エフコープはすべて
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