一部の先進的な地域生協を除いて、これまでデジタル活用が遅れていると言われてきた生協。そうしたなか2020年4月、日本生活協同組合連合会(東京都:以下、日本生協連)主導のもと、全国の地域生協のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進するプロジェクトがスタート。いよいよ生協陣営も本腰を入れてDXを推進していくという。その概要と生協がめざすDXの姿を取材した。
スタートアップ企業や外部のIT人材も協力
将来的な成長や競争力強化のために、デジタル技術を活用してビジネスモデルを変革させる、DXを進める動きが活発化している。
現在、組合員総数約3000万人、316生協が加入する日本生協連においても、デジタル活用をいかに進めていくかは、近年の大きな課題とされてきた。
そして2020年度、ついに課題解決に向けて動き出した。日本生協連は19年度、10年に1度策定する長期運営ビジョンとして「日本の生協の2030年ビジョン」を制定。そのなかで「生涯にわたる心ゆたかなくらし」「組合員と生協で働く誰もが活き活きと輝く生協」「より多くの人がつながる生協」など、30年度までにめざす5つの姿を打ち出した。そして、これを具現化するにはDXの推進が欠かせないとして今年4月、その実行組織として「DXコーププロジェクト」を立ち上げた。
現在、プロジェクトの専任メンバーは4人。デジタル領域に明るい、地域生協の経営幹部クラス職員と、日本生協連のシステム部門と事業企画本部の職員で構成されている。これに加えて、先進的にデジタル活用を進める地域生協の有志と連携を図るほか、ITコンサルタントをはじめとした外部の専門家やスタートアップ企業などの協力も得ているという。
日本生協連事業企画本部本部長の八木沼隆氏は「DX実現のためには、職員の仕事の仕方から、各事業の運営方法、さらにはそれぞれの組織の在り方までも変えていくことになるだろう。地域生協全体を巻き込んだ大きな改革プロジェクトとなる」と述べている。
現在は専任メンバーを中心に、プロジェクトの方向性や実行体制、到達目標を決めている段階で、11月にその具体策を地域生協に向けて報告する計画だ。
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