続・VUCA時代の小売と消費のカタチ 第2回:「消費の現場」を応援するソーシャルアクションに学ぶ、消費の現場における対話の3つのカタチ

2020/10/15 09:30
堤 藤成  株式会社フェズ クリエイティブ・ディレクター

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の問題で、Withコロナ時代を迎え、DX(デジタルトランスフォーメーション)と言う言葉が浸透し、オンラインとオフラインが溶け合う新しい日常へと急激なシフトが進んだ時代。これまでの連載を通じて、これからますます小売業界の「本質的価値」と向き合う時代になっていくこと。グローバル視点から見た小売の状況と比較する視点。そして「小売業界を中心に企業が手を取り合って、日本経済を元気にしていこう」というメッセージを発信した。体現するべく「消費の現場」を応援するソーシャルアクションとしてTMJP2020(チームジャパン2020)の取り組みのきっかけと、現在の消費者行動の変化、そしてビジョンの重要性について語った。今回は引き続きTMJP2020の活動を通じて見えてきた学びについて小売業界のこれからに繋がるヒントを語っていきたい。

様々な消費の現場のプロフェッショナルによる講義
様々な消費の現場のプロフェッショナルによる講義

2:生産性を高めるスキルと自助成長マインドセットを「学ぶ」こと

デザインアクションでビジョンを磨いた後、次にすべきことはそのビジョンを叶えていくために必要なスキルとマインドセットを身につけることだ。そこで「消費の現場」に必要な「安全な消費」をかなえる知恵を持つプロフェッショナルに話を聞く、全23回にわたる連続ウェビナーを開催した。この取り組みを行った背景としては、「消費の現場」の支え方として、世の中は補助金・寄附金など金銭的サポートの話ばかりに注目が集まりがちだったという問題意識があった。老子の「魚と釣り方」の例え話に出てくるように、一時的にお金を援助する解決策は短期的には大切だがそれだけでは本質的な解決策にならず、ずっと魚を与え続けないといけないことと同じだ。一方もし「安全な消費」をかなえる知恵をシェアし、事業者自身が釣り方を覚えることができたならば、飲食店や小売店自らが自走することが可能となる。そこでこのプロジェクトでは、様々な業界の消費の現場における課題を共有し、生産性を高めるスキルセットと、自ら成長しようとする「自助成長」を養うマインドセットについて様々な業界のプロフェッショナルに話を聞きYouTubeで発信するという取り組みを行った。

自助成長につながるマインドセットとしては、まずそもそもリモートでの学習について否定的な人はそのバイアスを取り除くことから始めてほしい。アメリカの一流デザインスクルールArt Center College of Designで自らコロナ禍でのリモート教育をいち早く実践してきた大島 陽氏は「リモートで学びの質はむしろ向上できる。教え方・学び方にこそ、クリエイティビティが求められる」と語る。つまり、リモートだから無理というのは、理由にならない。それはデジタルを活用した適切な教育方法を工夫できていないだけだという。また教育ガラガラポンプロジェクト代表の福田 崇氏は「今の時代、教育に正解はない。教育の多様性(ダイバーティ)こそ探索しよう」と語る。つまり先が見えない時代こそ、その企業が目指すビジョンや理念や従って教育を行うことが大事だということだ。また京都で120年続く美容室を経営する久田 智史氏からは「『安全対策』はやりすぎ くらいでちょうどいい」という言葉を教えてくれた。なぜなら顧客を安心させることでようやく、人は来てくれる。つまりひとまずできる限りの安全対策を消費の現場を行い、誠意を尽くすこと。こうして安全を気にする人を安心させなければ、経済は回り始めないということだ。

また生産性を高めるスキルセットとしては、オンラインで飲食店を取材しnoteのプラットフォームを活用し有料記事としてレシピを売る「読む料理店」というソーシャルアクションを行った庄司 真帆氏に話を聞いた。「支え方のカタチは、もっと自由でいい。今あるものを活かして自分らしい支え方をしてほしい」というメッセージをもらった。またガイアックス ソーシャルマーケティング事業部の重枝 義樹氏からは「コロナは将来起こるべき未来を加速させただけ。小さなお店が大きな影響力を持てる時代になっていく」という視点を語ってくれた。さらに日本全国のテナントのデータを分析する株式会社テナンタの小原 憲太郎氏からは「長期的視野にたてば、今は出店のチャンスだと思う。小さく無理しない範囲で、柔軟性と遊び心を持って出店戦略を進めることで、倒産のリスクも低くチャレンジしていくことができる」と語ってくれた。また 「オンライン就活」事業責任者の管 大輔氏とフェズの取締役の林雄貴の対談では「Withコロナで『リアル』の意味が変わった。対面かどうかよりリアリティをどう伝えるか」が大切であることが、ディスカッションを通じて見えてきた。このように様々な消費の現場のプロフェッショナルから直接Withコロナ時代の最新の知恵を聞くことで、ひとつの業界だけではわからない本質的な課題や解決策が少しずつ明らかになってきた。

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