続・VUCA時代の小売と消費のカタチ 第1回:「消費の現場」を応援するソーシャルアクションに学ぶ、消費者行動の変化とビジョンの重要性

2020/10/14 11:30
堤 藤成  株式会社フェズ クリエイティブ・ディレクター

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の問題は、4月の緊急事態宣言後、その後のGO TOキャンペーン論争など、気付けはもう半年近くが立とうとしている。いまだに完全な収束の目処は立っていない中、Afterコロナはすぐ来ることはなかった。しかしこのWithコロナ時代はある意味、コロナをきっかけにDX(デジタルトランスフォーメーション)と言う言葉が浸透し、オンラインとオフラインが溶け合う新しい日常へと急激なシフトが進んだと言えそうだ。

これまでコロナ禍に緊急事態宣言前の3月に寄稿した過去2回の記事(前編後編)では、これからますます小売業界の「本質的価値」と向き合う時代になっていくことを言及した。そしてグローバル視点から見た小売の状況と比較することで、VUCA※(ブーカ)時代の「小売と消費のカタチ」について考察を進めてきた。そして原稿の最後には「小売業界を中心に企業が手を取り合って、日本経済を元気にしていこう」というメッセージを発信した。

 そしてその後、こうして記事としてメッセージを発信するだけで良いのだろうか、と内省する機会があった。そこで実際にこのコロナ禍で、実際の対話と行動を通じてこの想いを体現するべく「消費の現場」を応援するソーシャルアクションとしてTMJP2020(チームジャパン2020)の取り組みを行なってきた。今回はその活動を通じて見えてきた学びから、小売業界のこれからに繋がるヒントを語っていきたい。

TMJP2020ロゴ

「安全な消費」はどうすれば、かなえられるか?

 そもそもプロジェクト開始時の問題意識は「コロナ死」と「経済死」をいかに防ぐかという問いからだった。私自身も所属している株式会社フェズのミッションは「『消費』そして『地域』を元気にする」である。そこで今回のコロナのタイミングで、消費の現場が疲弊する状況を見て、経営陣や社内のメンバーとともに、今何かできることはないかと自社のミッションについて深く考えた。しかし当時はより安全が求められていたため、単に消費を応援するアクションに踏み切れないジレンマを感じていた。そこでまずは課題の質と問いの質というマトリックスで考えを整理してみた。

Withコロナ時代の解くべきイシューについて整理した図
Withコロナ時代の解くべきイシューについて整理した図(著者作成)

こうして見るとコロナが起きるまでは小売業界は「いかに消費を活性化するか」と言う軸において各社競争してきたことがわかる。人を動かすイベントやCM、SNS施策などこれまで様々なマーケティング施策がおこなわれてきた。しかしコロナが起きた際、皮肉にも人を動かす優秀な施策であればあるほど3蜜などの「コロナ死」へ寄与してしまうと言う結果が生まれてきた。そこで「消費」よりもまずは「いかに『安全』を活性化するか?」の方がコロナの初期の食い止めにおいては重要なテーマとなってきていた。そこから生まれたのが、4−5月に始まった「ソーシャルディスタンス」であり「Stay Home ムーブメント」であった。しかしこの問いも、Withコロナ時代が長期化していくと、経済を停滞させ倒産や失業を生み出してしまう「経済死」の問題を後押ししてしまった。そこから「いかに経済と安全を両立する『安全な消費』を実現させるか?」と言う問いかけが生まれ、5−7月の間、我々が今、向き合うべき本質的な問いと捉えて活動をスタートした。

こうした課題意識をもとに小売、飲食、観光、美容、イベント、広告、教育、人材など「小売の現場」の有志が横断的に繋がって知恵をシェアしあうソーシャルアクションTMJP2020(チームジャパン)プロジェクトを5月ー8月の約3月ほど行ってきた。これまでスタートアップから大企業まで約100名近くの有志メンバーを中心に、消費の現場を応援する5つのプロジェクト(デザイン、スクール、コーチング、ファインド、フェス)に発展した。今回「消費の現場」のプロフェッショナルによる連続講義の中で見えてきた知見と重ねあわせながら、「安全な消費」を実現するヒントをシェアしたい。

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