第42回 五重苦の時代とソリューション型ドラッグストア(その4)

有田英明
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ルネサンスメインイメージ有田

過去の延長線上に未来はない。「今」を徹底分析して店をつくっても、所詮時代遅れである。小ざかしく頭がよいやつよりも、未来に向けて挑戦するドン・キホーテのほうがいい。ソリューション型ドラッグストア(DgS)は、店スタッフ一人ひとりが顧客満足と生産性向上を徹底して考えて行動する。最終的には自分を信じて行動する。そのためには「関わる人々を尊重する精神性」が欠かせない。

今来店して目の前にいるお客が先生だ

今来店して目の前にいるお客が先生であり、お客を喜ばせ幸せにすることが業態開発の主語である。(イメージ写真)
今来店して目の前にいるお客が先生であり、お客を喜ばせ幸せにすることが業態開発の主語である。(写真はイメージ Kumikomini / iStock)

 日本の小売業はアメリカの「真似」が好きだ。たとえば1970年代はアメリカではシアーズ・ローバック(Sears, Roebuckand Company)が全盛だったので、日本でも「シアーズこそが、めざすべき小売業だ」と真似したものだ。

 8 0 年代になると今度はKマート( Kmart)が全盛期を迎える。すると今度は「Kマートをめざそう」という風潮になる。90年代になるとウォルマート(Walmart)の快進撃が注目を集める。すると「ウォルマートこそが正しい。これを真似しよう」という人々が出てきた。

 DgS業界でも同じで、アメリカナンバーワンDgSのウォルグリーン(Walgreens)を真似しようという人々もいた。「ウォルグリーンこそが先生であり、ウォルグリーンこそが正しい」という考え方の人々であった。

 しかしこれらの「真似」をした人々の大半が失敗している。

 その国の商業の形態は以下の4項目で決まってくる。第1はマーケット構造である。第2は商業構造である。第3は立地構造である。第4は法律と慣習である。

 日本とアメリカではこの4項目が異なるので、業態もまったく違うかたちに進化したのである。つまり日本とアメリカでは「ドラッグストア」といっても中身はまったく違う。

 何より「アメリカの小売業が先生だ」という人々は、アメリカはよく研究しているけど、今来店して目の前にいるお客は見ていなかった。だから失敗した。

 われわれの先生はアメリカの先進的な小売業ではない。われわれの先生は、今来店して目の前にいるお客である。

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