お客様を置いてけぼりにした小売店は消える コロナ禍で実店舗が生き残るための必須条件

2020/10/21 05:55
    DIC幹部育成コンサルティング代表取締役 鳥越恒一
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    外部環境に左右されないお店とは?

    魅力的で提案のある売場、親切なスタッフ、いつでも豊富な品ぞろえの店は今後も生き残っていく(JGalione / iStock)
    魅力的で提案のある売場、親切なスタッフ、いつでも豊富な品ぞろえの店は今後も生き残っていく(JGalione / iStock)

     緊急事態宣言中においても繁盛しているお店、行列を作っているお店はたくさんありました。つまりこの環境が続いたとしても全てのお店が無くなるわけではありません。存続し繁栄を続けるお店も当然あります。外部環境の影響を受けない強いお店。それはどんなお店でしょう?

     例えば百貨店。来店客数減に歯止めが効かず、ECに力を入れたり、一部不動産化(賃料収入を収益源)していますが、それでも無くなりはしません。百貨店にはワクワクするような商品がたくさん揃っていたり、AIには出来ないようなホスピタリティあふれる接客で心地良くなったり、販売員の豊かな感性を活かした提案があったり、コロナのリスクを承知でも行きたいと思える百貨店であるならば今後も生き残っていくでしょう。

     スーパーマーケットもコンビニエンスストアも、ネットでも買えるけれど、魅力的で提案のある売り場、お買い物に困ったら感じよく相談に乗ってくれる親切なスタッフ、いつでも豊富な品ぞろえ、これらが揃っているお店は地域のお客様に愛され、今後も生き残っていくでしょう。

     一方、品物を並べているだけ、安いだけ、効率化を重視した無機質な接客応対をしているお店は支持されなくなりECやデリバリーに侵食され、いずれ無くなっていくでしょう。地域で無くてはならないお店、無いと困る、寂しいお店。そんなお店を目指すことが今求められています。

     現在多くの企業が厳しい経営状態に直面しています。そしてまずは存続のために固定費を圧縮し赤字になりづらいコンパクトなお店・企業を目指しています。また、この危機が去るまでしのげる資金の確保に奔走しています。

     そんな状態になるとつい置いてけぼりになるのが「お客様」と「従業員」です。効率化を求めすぎたお店はお客様の負担(お待ちいただく時間が増える、品出しが追いつかず買いたい商品が棚にない、高単価商品・高粗利商品を売ろうとするなど)を増やします。

     また、厳しい人件費コントロールで従業員の負担は増え疲弊していきます。経営が厳しい状況で一見仕方のないように見えますが、お店はお客様と従業員があってこそ成り立ちます。お客様に負担をかけないよう、従業員に過度な負担がかからないよう工夫が必要です。

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