コロナ禍で冷食が伸びているからだけじゃない ローソンが「ビストロシリーズ」投入した周到の背景とは

2020/09/29 05:55
    大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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    コンビニに求める商品の特徴は
    「手間のかかる」「本格的な味」

     しかし食品スーパーに比べてコンビニは冷凍食品の売場スペースは広く確保できないほか、低価格という点でも対抗するのは難しい。

     そうしたなかローソンは潜在需要を探るべく消費者調査を実施。その結果、冷凍食品を購入するに当たり、食品スーパーは「価格が安い」「種類が豊富」「供給が安定している」という点が評価されている一方、コンビニでは「時間を選ばずに買える」「手間のかかるメニューが豊富」「手軽で本格的な味わいが楽しめる」という点が支持されている傾向があったという。

    「ビストロシリーズ」から発売されたのは計4品目。左上から時計回りに「黒トリュフソースで食べる“贅沢な”ローストビーフ」「5層仕立てのラザニア」「ビーフストロガノフ」「ベーコンとほうれん草のキッシュ」
    「ビストロシリーズ」から発売されたのは計4品目。左上から時計回りに「黒トリュフソースで食べる“贅沢な”ローストビーフ」「5層仕立てのラザニア」「ビーフストロガノフ」「ベーコンとほうれん草のキッシュ」

     なかでもローソンが目を付けたのが、「手間のかかる」「本格的な味」といった、こだわり商品に対するニーズだ。

     これをさらに取り込むべく開発したのが、冒頭の「ビストロシリーズ」である。「“ちょっと贅沢な”気分を味わえる冷凍食品」をコンセプトに、ローストビーフ、ラザニア、ビーフストロガノフ、キッシュといった、洋風レストランで提供されているような本格的なメニューを志向した4品目を発売。コロナ禍の外出自粛生活で高まっている「家飲み」や「家庭で外食のような本格メニューを楽しみたい」といった需要に対応できる商品シリーズとして訴求していくという。

    「黒トリュフソースで食べる“贅沢な”ローストビーフ」。チルドタイプの商品よりも、見た目や、食感、味に鮮度感があると感じた
    「黒トリュフソースで食べる“贅沢な”ローストビーフ」。チルドタイプの商品よりも、見た目や、食感、味に鮮度感があると感じた


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    記事執筆者

    大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

    1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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