業績落ち込むファミリーマート  「ミニスーパーの代わり」めざす新たな商品政策とは?

2020/09/24 05:55
    大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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    既存店売上高が
    大手3社で最も低下

     コロナ禍で業績が振るわないコンビニエンスストア業界。近年、出店を強化してきた都市部立地の店舗が、リモートワークの普及で一気に売上減となっていることが主要因だ。

     大手3社のなかでもとくに業績の落ち込みが大きいのがファミリーマート(東京都/澤田貴司社長)だ。2020年度上期(3~8月)の既存店売上高(対前年同期比)は「セブン-イレブン」が97%、「ローソン」が91.6%に対して、「ファミリーマート」は89.9%と最も低い。

     そうしたなか巻き返しを図るべく、ファミリーマートが20年度下期の重点施策の1つとするのが、内食需要への対応だ。コンビニは近年、中食需要に対応する商品を強化してきたが、コロナ禍の外出自粛生活で内食需要が高まっていることから、需要奪取に動くという。

    「ミニスーパーの代わり」をめざす

    カット野菜や日配品を、「緑色」のパッケージを採用した「お母さん食堂」の食材シリーズとして販売。コンビニでも内食需要に対応した商品が購入できることを消費者に訴求する
    カット野菜や日配品を、「緑色」のパッケージを採用した「お母さん食堂」の食材シリーズとして販売。コンビニでも内食需要に対応した商品が購入できることを消費者に訴求する

     具体的には、18年2月期から販売する「お母さん食堂」シリーズの品揃えを強化する。

     同シリーズは、「一番身近で美味しくて安心できる食堂」を掲げるファミリーマートのプライベートブランドだ。

     これまでは、「赤色」のパッケージが特徴の「チルド・冷凍総菜」シリーズと、「金色」を基調とする高級感ある包装を採用した、素材・製法にこだわった上質商品シリーズ「お母さん食堂プレミアム」を展開してきた。

     これに加えて6月頃からは、カット野菜や冷凍野菜といった素材のほか、豆腐や卵などの日配品を、「緑色」のパッケージを採用した「お母さん食堂」の食材シリーズとして販売している。これにより近所のコンビニでも内食需要に対応する商品が購入できることを広く認知してもらうねらいだ。

     3シリーズでの展開になったことで、「お母さん食堂」のSKU数は全体で350以上に広がっている。商品・マーケティング本部生活デイリーグループマネジャーの鈴木孝広氏は「ミニスーパーの代わりに利用される店になれるような品揃えをめざす」と述べている。

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    記事執筆者

    大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

    1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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