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サラヤ 衛生・環境・健康 3つの事業領域で 人と環境にやさしい 商品を提供する!

日本初の薬用石けん液と容器を開発し、1952年に創業したサラヤ(大阪府/更家悠介社長)。以来「、衛生」「環境」「健康」の3つを事業の柱とし、より豊かで実りある地球社会の実現をめざしている。新型コロナウイルスの影響によって衛生商品が大きく伸長するなか、環境や健康分野ではどのような成長戦略を描いているのか。コンシューマー事業本部 本部長の山田哲氏に聞いた。

コロナ禍で若年層を中心に主力商品が好調

──まずは直近の業績について聞かせてください。

サラヤ コンシューマー事業本部 本部長
山田 哲(やまだ・さとし)
1968年、埼玉県生まれ、大阪育ち
1992年3月大学卒業後、4月サラヤ株式会社入社、近畿北陸営業第2部新大阪配属、9年間勤務
2001年4月本社営業統括本部2部マネージャーとして異動
2007年4月本社営業統括本部食品衛生部統括部長
2010年11月本社営業本部営業管理部部長
2011年7月本社コンシューマー事業本部ダイレクト営業部部長
2017年11月本社コンシューマー事業本部本部長

山田 当初、2020年は環境意識が高まるターニングポイントの年だととらえていました。というのも、7月1日からのレジ袋有料化に加え、2020年東京オリンピック・パラリンピックが開催される予定だったからです。今回大会では「持続可能な開発目標(SDGs)」への貢献を掲げており、大会組織委員会は大会で使う食品の調達基準に、「持続可能なパーム油のための国際規格認証」(RSPO認証)を受けたパーム油を使うことを推奨しています。当社でも以前から環境対応の洗浄剤にはRSPO認証油を採用し、普及に努めていたこともあり、6月頃から環境商品が伸びるのではないかと予測していました。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大で状況は一変。衛生商品の需要が高まりました。

──コロナ禍で衛生商品が売上を大きく伸ばした一方、環境商品はいかがでしたか。

山田 環境分野における主力商品といえば、1971年に誕生したロングセラーブランドの「ヤシノミ®洗剤」のほか、天然界面活性剤を使用した「ハッピーエレファント」があります。原料生産地であるボルネオ島の生物多様性を守り、持続可能な原料調達から得られた植物原料をもとに、サラヤ独自の新技術を加えて生まれたブランドです。ボルネオ生態系の頂点にいるゾウが幸せになれば、それは未来にきれいな環境が残せた証しであることから、この名が付けられました。天然酵母の発酵から生まれた天然洗浄成分ソホロ()を配合し、手肌にも環境にもやさしい洗剤です。環境意識の高まりを背景に、こうした商品のニーズが高まると予測していたものの、当初は成長が危ぶまれる状況でした。しかしながらコロナ禍で一転。蓋を開けてみれば「衛生」「環境」「健康」のいずれの分野も大きく伸びています。

 その理由として3つ挙げられます。まず、巣ごもり生活によって在宅時間が長くなり、家事が増えたことです。2つめは、アルコール消毒の頻度が上がったことで手荒れが増え、肌へのやさしさの意識が高まったこと。3つめは、2007年に改正された学校教育法によって、環境教育が充実した結果とみています。SDGsやCO₂削減について子供の頃から学んできた世代が20代30代になり、「どうせ買うなら環境に配慮した商品を」と考え、購買に結びついています。

※ソホロ:植物油と糖を栄養に、酵母が発酵で生み出した天然洗浄成分。特許取得済み。

著名人からも支持の高い「ラカント」が売上拡大

──衛生と環境、いずれも好調ですが、健康商品についてはいかがですか。

山田 当社の健康商品といえば、カロリーゼロの自然派甘味料「ラカントS」を20年以上にわたって販売していますが、こちらも好調に推移しています。一昨年の秋にTV番組で紹介されて大きく跳ねた反動で年初は苦戦しましたが、4月5月頃から状況が好転。その理由として、糖尿病者は新型コロナウイルスで重症化するリスクがあるという情報が流れたことが挙げられます。重症化しないために、ふだんから血糖コントロールが大切ということで、病院の管理栄養士の方から「ラカントS」を紹介していただくケースが増え、40代50代の購買率が上がりました。ただ、調査してみたところ、20代30代で大きく伸びている。紐解くと、有名なユーチューバーがダイエットの一環として「ラカントS」を使ったスイーツをつくり、それがヒットしたようです。

──著名人が商品を使い、それをSNSで発信したことで、認知拡大が進み、購買につながっているというわけですね。

山田 当社では、早くからデジタルプロモーションに取り組んできましたが、そのユーチューバーもSNSがきっかけで興味をもってくれたようです。また「ラカントS」はアメリカでも人気が高く、現在「MONKFRUITSWEETENER」という新ジャンルの甘味料として注目され急成長を遂げています。健康志向の高い品揃えで知られるホールフーズでは売れ筋商品として認知され、コストコでも取り扱われるようになりました。世界的なパティシエ、鎧塚俊彦さんも「トシヘルシースイーツ」というブランドを立ち上げて、「ラカントS」を使い、低糖質で体にやさしいお菓子をつくっていらっしゃいます。自然派甘味料で、カロリーゼロ、糖質ゼロという価値だからこそ、国内外で高い支持を獲得できたのだと思います。

──時代がサラヤさんに追いついてきた感じがします。プロモーションによる効果もあるのでしょうか。

山田 環境意識の高い雑誌やWeb媒体、FMラジオなどには広告を打ちますが、当社ではTVCMは一切行っていません。ですから一時的なものではなく、丁寧なコミュニケーションの蓄積が、ようやく認められてきたという感じでしょうか。例えば、ボルネオの環境保全活動もその1つ。これは、ヤシノミ洗剤などの植物性洗剤の原料生産地の1つであるボルネオ島で起きている熱帯雨林の伐採と動植物の絶滅危機という問題に対し、野生動物の生息地となる土地を買い戻して、森を再生させようというもので、当社は環境NPOの設立に尽力。さらに、「ヤシノミ®洗剤」シリーズの売上の1%を毎年寄付することを10年以上続けています。こうした活動をお客さまにも流通の方々にも伝えてきたことで、ご評価いただいているのだと思います。

全成分100%天然由来の除菌・消臭剤を今秋新発売

──今後、強化していくカテゴリーや商品について教えてください。

山田 健康軸では、「ラカント」ブランドを育成していきます。今秋注力するのは、妊婦の方を対象にした「ラカント 低糖質カフェインレスカフェオレ」と「低糖質カフェインレスミルクティー」。健康な人でも、妊娠中期に入るとインシュリンの分泌に異常をきたして妊娠糖尿病になる人が約1割いるといわれています。「甘い物を食べたり飲んだりしたいけれど、人工甘味料はとりたくない」。そういう人たちも安心して楽しめるようにと開発しました。出産後は体形を気にされる方も少なくないので、産前から産後も継続して使ってもらい、「ラカント」にもシフトしていただけるように取り組んでいきたいです。

──環境分野で今後注力する商品はありますか。

山田 近年、合成香料における「香害」が話題になっていますが、強すぎる香りだけでなく、成分の残留による肌への影響を懸念する人も少なくありません。そうした人たちに向けて、16年に「ヤシノミ®洗たく洗剤 濃縮タイプ」と「ヤシノミ®柔軟剤」を発売しました。無香料・無着色にこだわった、「ヤシノミ®洗剤」のコンセプトを踏襲したランドリー商品です。年々配荷が進み、リピート率も高く、商品コンセプトが若年層を中心に支持されているようです。いかに若いお客さまを来店させるかという小売店さまの課題解決に貢献できる商品だといえるでしょう。

 今秋の新商品としては、11月に衣類・布用除菌・消臭剤市場に「アロマライフファブリックミスト コンフォートフローラル/リラックスシトラス」の2品を投入します。2強市場にあえてサラヤが新商品を発売する理由は、全成分100%天然由来という点で「配合されている化学成分が不安だから使わない」というファブリックスプレー未使用ユーザーを取り込める可能性があるからです。使用する天然精油は、「生活の木」とのコラボレーションで実現しました。「生活の木」とは、ハーブとアロマを通じて「自然・健康・楽しさ」のある生活を提案・普及する企業で、世界32カ国の提携農園から厳選したオーガニックハーブや精油などを直輸入し、全国の直営店で販売しています。当社ではコロナ禍で、より「衛生・環境・健康」に対する意識は高まっていくと考え、消費者ニーズに応える製品とサービスを提供していきます。