「想定外」がお客を引きつける!一流店に学ぶ、オンラインに負けない店の作り方

成田直人
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リアル店舗の勝機は、「想定外」にある

 勿体ぶって申し訳ないのですが、まず先に「なぜ店舗からお客様は消えたのか?」についてお話をします。私は単純に店舗で買うことにワクワクしなくなった、と分析しています。つまり、「店舗が顧客の期待に応えられなくなったから買い物はつまらないものになった」ということです。例えば、アパレルであればすぐに声をかけてきて鬱陶しいという心の声を無視した旧来のアタック型接客中心。顧客の感情や気持ちに寄り添えないため顧客はますます誰にも邪魔されないオンラインへとシフトしていきましたよね。もしかしたらあなたもここ数年でオンラインショッピングの割合が増えたかもしれません。欲しいものを買うのであればオンラインで十分、そう市場は認識し始めたのです。

 では店頭はどこを目指せば良いのか?それこそが今回の寿司店で次回の予約をしてしまった仕掛けにあります。欲しいものを買うのであればオンラインで十分、では店舗を引き続き利用してもらうためにはどうしたらよいのかというと「欲しいもの以上の結果」をお客が手に入れられれば良いのです。これを私は「想定外」と呼んでいます。

 私は寿司店に入り、ランチコースを今か今かと待っていました。お茶が出てきて、寿司が1カン運ばれてきました。早速に頬張ると「うまい、超うまい!」そりゃそうだ、富山県で1番の繁盛店なんだから。終始クライアントとうまいうまいと食べていたのですが、ふとした一言をクライアントは言いました。

「この粘りどうやって作ってるんだろう・・・」と寿司について触れました。そこで大将の目つきが変わり「実は・・・」と寿司の話が始まったのです。ここに一つ隠れたポイントがあります。それは知識や経験をただ自慢げに話すのではなく、顧客同士の会話の中で「問い」が生まれた瞬間に動いたという点です。うちの寿司は熟成しててうまいんだ!というのではなく、顧客の頭の中に生まれた問いに答えているのでこちらもスムーズに聞き入れることができました。

 そして、ワンポイントのこだわりフレーズがあるわけです。「こちらは2週間熟成させているので粘りがあります。噛んだ時の感触ありますよね。全く硬くない、なぜなら、50度で細胞を壊しているからです。」とくるわけです。「なんじゃそりゃ〜」となります。

 問いに答えるのは想定内です。そこに全く想像つかない工程が入り感動へと変わります。おっと、興奮して書いていたら長くなり過ぎましたので、続きは次回の連載でお伝えします。

 

なりた・なおと
19歳でABCマートアルバイト個人売上日本一を獲得。マネージャーになり昨年度対比1位、2位の原動力となる。その後、PC専門店PCデポに入社し、7ヶ月で個人売上1億円を達成。翌年、「良い」よりも「成果が出る」をモットーに小売・サービス・飲食業専門コンサルティング会社「株式会社FamilySmile」を創業。現在は、一部上場企業を中心にコンサルティング・研修・講演を手がけ多くの店舗で昨年度対比120%を達成。中には、3年で売上2倍になる店も続出するほどコンサルティングには定評がある。その功績が認められ日本三大褒章の一つ中小企業のノーベル賞と言われる「東久邇宮文化褒章」を受賞。セミナー講師ナンバーワン決定戦「S-1グランプリ」初代グランプリを獲得。

 

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