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12月まで予約一杯の寿司店と顧客200人の靴店バイトに学ぶ 店舗ビジネスの豊富な伸び代とは

こんにちは、成田直人です。最近多方面で、「今後の店舗ビジネスはどうなるんですか?」と聞かれます。私の連載をご覧いただいている方も「これからの店舗ビジネスは大丈夫なのかな?」と不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。断言します、まだまだ伸び代だらけです。なぜそう言い切れるのか、今日は店舗ビジネスの伸び代についてお話しします。

Nayomiee / istock

コロナ禍でも12月まで予約がいっぱいの寿司店の秘密

「店舗ビジネスはまだまだ伸びますよ」

 当社のクライアントもこの一言に安心していますが、もちろんただの応援のための虚言ではありません。私は、実際に店舗はまだまだ伸びるとしか思えないのです。

 では、多くの人がなぜ店舗ビジネスの今後について不安を抱いているのか?それは、競争相手がネットショッピングになっているからです。飲食店も、消費者が自粛期間中にお取り寄せをして自宅で飲み会を開くことが増えているため、「リアルの場と同程度の価値を自宅で感じているのではないか?」と不安になっているようです。

 私は、オンラインや他店との競合を意識していることに問題があると思っています。そもそも人気店は比較されていません。人気店は顧客にとって常に「ファーストチョイス」なので、オンラインのことが頭をよぎることはないのです。

 私が先日連れて行ってもらった高級寿司店はコロナ期間中に2ヶ月休業していましたが、すでに12月まで予約でいっぱいだそうです。「こんな世界があるんだな」と驚いてしまったわけですが、要はこの寿司店の顧客にとっては「この店じゃないとダメ」なのです。他の店のことが頭をよぎることはないのです。

 それを聞いて、「そんなのは、高級料理店で大将の腕が良いからでは?」と思い、思考停止になるようでは、厳しい言い方ですが、今後の店舗運営は厳しいでしょう。

 店舗で働く人もこの店から学ぶことは多いです。その一つが「知識量」です。一流店の店主は知識もものすごいものがあります。話を聞いていて頷く以外の選択肢がないほど専門知識と独自の体験があります。この時点で「この人は素晴らしい!」とお客はなりますよね。 

 これを自身に当てはめてみたらどうでしょうか。「業界トップクラスの知識や体験をしているか?」 この問いをすることで、自らできることはまだまだたくさんあるということにと思い至るのではないでしょうか。

圧倒的な知識量と独自の体験が「この店じゃないとダメ!」になる

 私もABCマートでアルバイトをしていた10代の頃、ビジネスシューズを専門に担当しており、顧客の履いている靴がどのブランドの靴かわかるほど店を巡って形やブランドの特徴を勉強してきました。「お客様、今履かれている靴は○○社の■■じゃないですか?」の一言で顧客は「えっなんでわかるの??」と驚かれることも多かったです。革の素材別のお手入れの方法も自分自身でビジネスシューズを購入(履く予定もないのに・笑)して、自分で手入れをして革の状態の変化をメモしていました。

 そこで自分なりの手入れの方法(寿司店で言う独自の体験)を確立して、顧客の履いている靴で実演します。すると「こんなに綺麗になるの?すごい!」となり、新しい靴とお手入れ用品を一式購入してもらっていました。

 この顧客は次回、誰から買いますか? もうおわかりですね。私が常に200名以上の顧客から指名されていたのは圧倒的な知識量と独自の体験に他なりません。価格が安いから、で選ばれる店はオンラインと比較されて厳しくなります。商品数が多い店も同様です。

 その店で購入する理由は?どんな価値が他店が模倣できない領域なのか?

 スタッフレベルまで個々が追求していくことが今後の店舗ビジネスでは求められます。もうオペレーション(顧客が欲しいものを買う店)では限界がきています。あなたの店で購入する理由・価値を追求し、顧客にとってなくてはならない店づくりをしていくことが大切です。

 

なりた・なおと
19歳でABCマートアルバイト個人売上日本一を獲得。マネージャーになり昨年度対比1位、2位の原動力となる。その後、PC専門店PCデポに入社し、7ヶ月で個人売上1億円を達成。翌年、「良い」よりも「成果が出る」をモットーに小売・サービス・飲食業専門コンサルティング会社「株式会社FamilySmile」を創業。現在は、一部上場企業を中心にコンサルティング・研修・講演を手がけ多くの店舗で昨年度対比120%を達成。中には、3年で売上2倍になる店も続出するほどコンサルティングには定評がある。その功績が認められ日本三大褒章の一つ中小企業のノーベル賞と言われる「東久邇宮文化褒章」を受賞。セミナー講師ナンバーワン決定戦「S-1グランプリ」初代グランプリを獲得。