連載 スーパーマーケットの2020 #2 U.S.M.H

森田俊一(流通ジャーナリスト)
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収益性改善へ、中期経営計画が進行中!

 U.S.M.Hは現在、2022年度(23年2月期)を最終年度とする第2次中期経営計画を推進している。23年2月期に20年2月期から474億円上乗せした売上高7390億円の達成をめざす。「コスト」「デジタル」「フォーマット」の3つの改革により、23年2月期までに営業利益は130億円、営業利益率は1.8%にまで引き上げるとしている。

 ただ、業界からは「首位を競うライフと比べると、利益率が物足りない」(ある食品卸の関係者)という声が聞こえてくる(20年2月期、ライフは営業利益率2%に対し、U.S.M.Hは1.4%)。

 U.S.M.Hは3社の統合によって規模を拡大している。人員削減などを実行するとなれば話は別だが、短期間で即座に利益をねん出するのは至難の業。そのため、新規出店だけで規模を拡大してきたライフと比べると状況が異なるというのだ。現在実行中の中期経営計画では、収益性を改革できるかが焦点となる。

規模の利益をどう具現化するか

 「U.S.M.Hは3社のシナジー効果が、まだ十分に発現されていないのではないか。その意味で伸び代がある」(前出の食品卸関係者)という声もある。

 統合から5年が経過しようとしている現在、U.S.M.H傘下の3社による共同仕入れや、販売促進策の共有化が本格化している。また、同じイオン系のドラッグストアであるウエルシアホールディングス(東京都)とは、医薬品や家庭用品などの共同調達を実施していくことで合意。イオンのグループ企業を巻き込んだ、「規模の利益」の具現化は着実に進行している。

 「コロナ収束が長引けば、小商圏で日常必需品を販売する食品スーパーはますます強さを発揮する」(ある経営コンサルタント)といわれている。強い追い風が吹く中で、U.S.M.Hは約7000億円という規模の潜在力をいかに引き出せるか。真価が問われている。

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