上位企業が軒並み苦戦!? 上場アパレル専門チェーン売上ランキング2020

2020/08/03 05:45
    森田俊一(流通ジャーナリスト)
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    紳士服専門チェーンはコロナで大打撃

     ランキング上位企業のうち、苦戦ぶりが際立ったのが、紳士服専門店チェーンだ。

     紳士服専門店チェーン最大手、青山商事(広島県)の2020年3月期(連結)の売上高は2176億円(対前期比13.0%減)、営業利益8億円(同94.4%減)だった。AOKIホールディングス(神奈川県)も20年3月期連結業績が営業収益1802億円(同7.6%減)営業利益66億円(同50.7%減)と、そろって減収・大幅減益となっている。

     クールビスによりスーツを着る時間が短縮化されるなど、オフィスファッションのカジュアル化が進展しており、近年の紳士服専門チェーン各社は販売不振に苦しんでいる。ここに追い打ちをかけるように、新型コロナウイルスの影響で卒業式や入学式、企業の入社式などが中止となり、スーツ需要が低迷に拍車をかけている。青山商事のビジネスウェア事業の売上高は同16.9%減となっている。

    唯一気を吐いたのは話題のあのチェーン

     ランキング上位20社までの大手~中堅クラスが軒並み苦戦するなかで、唯一気を吐いたのが9位のワークマン(東京都)だ。同社の20年3月期(単独)の営業総収入は923億円(同37.8%増)、営業利益は191億円(同41.7%増)と、売上・利益ともに驚異の伸び率を記録した。

     同社の好業績を牽引するのが、業務用向け商品で蓄積してきた機能性衣料のノウハウを取り入れたプライベートブランド(PB)の販売好調だ。同社におけるPB売上高は同70%増と大幅に伸長しており、売上全体に占めるPB比率は前期に比べ7.3ポイント上昇し、51.4%となった。PB比率が伸びたことにより、利益もかさ上げされている。

     2020年度の衣料専門店も引き続き厳しい状況が続きそうだ。とくに駅ビルやショッピングセンター(SC)などを主戦場とする衣料専門店は、新型コロナウイルスの感染拡大で営業自粛や営業短縮を迫られており、足元の業績は軒並み低迷している。海外で事業展開するチェーンも大打撃を受けている。この危機に、各社はどう対応すべきか? 衣料品専門店チェーン各社は、間違いなく正念場を迎えている。

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