自転車チェーンあさひ、市場縮小下で好調が続く理由

文=森本守人(サテライトスコープ)
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あさひが現在、主力フォーマットとするのは売場面積200坪タイプ。写真は京都府の「サイクルベースあさひ桂川店」

ライフスタイル提案を強め、営業利益率8%をめざす

 自転車専門店「サイクルベースあさひ」を全国展開するあさひ(大阪府/下田佳史社長)。競争激化、人口減少など経営環境が厳しさを増すなか、楽しさやライフスタイルの提案に力を入れる。今年は新型コロナウイルス感染症が拡大する難局にあるが、自転車の役割が大きく変わる時期ととらえ、さらなる市場深耕をめざしている。

  2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
売上高(百万円) 48,402 51,088 53,620 57,460 59,852
営業利益(百万円) 3,233 3,385 3,425 3,915 4,006
店舗数(店) 418 442 459 473 477

自転車国内販売台数は減少

 あさひの創業は1949年。長く個人経営の自転車店だったが、89年11月に初の大型店「サイクルベースあさひ寝屋川店」(大阪府寝屋川市)を出して以降、チェーン展開を始め店舗網を拡大した。2020年2月期末時点で店舗数は477店(うちFC19店)、売上高598億5200万円(対前年同期比4.2%増)、営業利益40億600万円(同2.3%増)で、国内トップの自転車専門店チェーンへと成長している(図表)。

 同社が扱う自転車の市場は大きく変容する。

 かつて自転車を販売する中心的な業態は、個人経営のいわば「町の自転車店」だった。10年前、全国に約1万5000店あったが、後継者難などにより現在は約9000店と急速に減少。このなか、あさひは着実に事業規模を広げてきた。

下田佳史社長
下田佳史社長

 一方、自転車への需要も大きく変動する。近年、自転車が最も注目されたのは2011年。東日本大震災の発生により、「環境にやさしい移動手段」との認識が高まり、国内の年間販売台数は1100万台を記録した。だがその後は、年々下降傾向にあり、直近の19年度は約700万台と、11年と比較し4割近くも減少しているのが現状だ。

 経営環境は厳しさを増している。少子高齢化による人口減少に加え、競争も激化。同業態の自転車チェーンだけでなく、ホームセンターやGMS(総合スーパー)企業が新たな商材として販売するほか、ここ数年はネット販売サイトも増えている。

 そのなか、あさひでは自転車の専門チェーン企業として、付加価値型商品を強化するほか、接客やアフターサービスといったソフト面を強化、リアル店の強みを最大限に訴求する戦略で差別化を図っている。一方、ITや物流といったインフラの整備にも積極的で、次代を視野に入れ、ビジネスの基盤を固めようとしている。

 マーケットが大きく変わるなか、あさひはいかなる成長戦略を描くのか。

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