コロナ禍で波乱の予感?! 上場コンビニ売上ランキング2020!

森田俊一(流通ジャーナリスト)
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コロナ禍でランキングに変化はあるか?

 ファミリーマートがサークルKサンクスを取り込んだ当初は、3位に転落したローソンとは圧倒的な差がつくとみられていたが、ファミリーマートとローソンのチェーン全店売上高の差は4000億円程度にとどまっている。また、202月末時点の国内総店舗数はファミリーマートが16611店、ローソンが14444店と、2200店程度の差しかない。

 新型コロナウイルス問題が始まる以前は、ローソンが中堅あるいは下位チェーンを取り込めば“一発逆転”が起こる可能性は十分にあり、2位のファミリーマートを射程圏内におさめていたといっていい状態だった。

 しかしコロナ禍により、先行きが見通せない状況となっている。新型コロナウイルスが業績にどれほどの影響を与えるか見通せないことから、ファミリーマートをのぞいた各チェーンは20212月期通期の業績予想を明らかにしていない。

粛々と施策に取り組む各チェーン

 ただ、コンビニ各社の足元の営業状況を見ると、苦戦の様相が鮮明となっている。大手コンビニの4月度と5月度の月次売上高は、2カ月連続で大きく落ち込んだ。

 1位のセブンイレブンは4月が対前年同月比5.0%減、5月は同5.6%減だった。2位のファミリーマートは落ち込み幅がさらに大きく4月は同14.8%減、5月は同11.0%減。3位のローソンも4月が同11.5%減、5月が10.2%減と、セブンイレブン以外は2カ月連続で2ケタの落ち込みとなった。

 そうした中、大手各社とも大きく動けず、粛々とこれまでの計画を進めている。セブンイレブンはかねて進めてきた新レイアウトへのシフト。新レイアウトを導入したり、立地別に売場レイアウトを変更したりすることで、品揃えにメリハリをつけ平均日販を引き上げ、状況打開につなげたい考えだ。新レイアウトは20年度(212月期)末までに15000店に導入する予定としている。

 2位のファミリーマートは希望退職の募集などで、内部のスリム化を図っており、基盤の強化を進める戦略。3位のローソンは「無印良品」の商品を都内3店で実験導入し新規客の流入をねらうほか、食事宅配の「ウーバーイーツ」対応店を500店に広げるなどコロナ禍による宅配需要の拡大に対応しようとしている。

 このように大手を中心とした各コンビニチェーンは、コロナ禍で大きく動くことができず、売場や体制を固める戦略を粛々と推進している。足元では、感染拡大の第二波がいよいよ現実味を帯びている。大手各社の苦慮は続きそうだ。                        

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