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巣ごもり消費でも来店したくなる お客様が企業SNSから知りたいこと

再び新型コロナウイルスの感染者数増が目立ってきた。とくに外食、小売店にとってはまた来店客が減り「巣ごもり消費」が一層進むことも予想される。そこで手をこまぬいているのではなく、販促をしていくにはSNSの活用が必要となる。経営コンサルタント竹内謙礼氏の著書「巣ごもり消費マーケティング」から上編・下編に分けてお届けする。下編では具体的な投稿をするための心構えを紹介する。

今や販促に欠かせないSNS。投稿する内容にも気にとめておくべきことが多くある。2019年12月撮影(2020年 ロイター/Johanna Geron)

 SNSを始めるにあたって、最初に意識してほしいことは、SNSのプロフィールの書き込みである。あたりさわりのないプロフィールを書いてしまうと、読む側も前のめりで読んでくれなくなってしまう。読む前からモチベーションも下がってしまうので、投稿されている情報そのものが伝わりにくくなってしまう。できるだけ魅力的な人物像を意識して書いて、「がんばっています!」というメッセージが伝わるようなプロフィールと写真にすることが、お客様を惹きつけるSNSの土台となる。

 投稿する情報は、「役立つ情報」を意識して配信することである。感染予防対策の写真や動画、店内が換気されている様子など、お客様が気にしていると思われるお役立ち情報をアップすることが、直接の来店動機にもなる。

“フォローしたい”と思わせる紹介文を書くことがポイント

 ユニークなお役立ち情報を投稿してみるのもいいだろう。たとえば、ガラガラな店内の写真をアップして、「今ならスタッフとの距離は3m以上保てます」というシャレの効いた動画を流すと、お店を応援したいという人の気持ちを動かして、来店動機につながるかもしれない。

 また、室内でもできるストレッチ運動の動画を流したり、冷蔵庫のあまりもので美味しい料理を作るレシピを配信したり、巣ごもり中のお客様の生活で役に立つ情報を配信すると、お店のSNSを定期的に見に来てくれる人を増やすことにも直結する。

 SNSを通じてお客様との距離感が近くなれば、問い合わせや相談も受けやすくなるし、悩みごとを解決してくれるコンテンツを配信すれば、来店動機も高まっていく。今後は実社会のソーシャルディスタンスをSNSで詰めていくことが重要なネット販促になるので、常にお客様に寄り添うコンテンツをSNSで発信することが、人と人との距離感を縮めていく数少ない方法になる。

 なお、新型コロナウイルスの政府の対策に関する話は、SNSでは極力、配信しないほうがいいだろう。お客様によっては敏感に反応してしまう話なので、流した情報で顧客離れを引き起こしたり、炎上案件になってしまったりする恐れもある。ネガティブな話はできるだけしないようにして、不用意なコロナ禍の予測や政府への不満や愚痴は、胸の中にしまっておいたほうが得策といえる。

 SNSの情報発信は、「やり続ける」ことではじめて成果が発揮される。最初の2週間は新鮮な気持ちで情報発信に取り組むことができるが、やがて反応が鈍いことや、投稿するネタ作りに困り、1ヶ月後ぐらいにはSNSから遠ざかっていってしまうのが、SNS初心者が躓くお決まりのパターンになる。

お客様に伝えたい思いを持ち続ける

 長く続けられない理由は、お客様に「伝えたい」という思いがないからである。

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「感染に恐怖して、家で閉じこもっているお客様たちに、少しでも元気になってもらいたい」という思いがあれば、SNSで発信する情報は湯水のように湧いてくるはずだ。お客様からの反応がなかったとしても、自分がお客様に「伝えたい」という思いさえあれば、情報発信のネタに詰まることはない。

 それが「ない」ということは、今までお客様のために商売をしてきたのではなく、自分自身のためだけに商売をしてきたからではないだろうか。お客様のことよりも、自分自身のことを第一優先に考えてきたために、すぐに売上にはつながらないSNSでの情報発信に熱意が傾けられなくなってしまうのである。

 自己中心的な経営者のお店や会社に、お客様が思いを寄せてくれるはずがない。まして、社会が危機的状況に陥った時に、お客様が助けに来てくれるはずがない。

 コロナ禍では、自分自身を守ることで精いっぱいの人が多い。しかし、そのような中でも「お客様のために」と思える気持ちが、お客様の心を動かすSNSの情報発信につながっていくのである。