ヨーク旗艦店「新宿富久店」に見る、セブン&アイの都市部攻略策

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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売場の各所に“ヨークベニマル流”を導入

 ヨークの前身であるヨークマートは、2010年頃から同じセブン&アイグループのヨークベニマル(福島県/真船幸夫社長)との「食品スーパー事業統合」を推進。店舗運営や売場づくりのノウハウを取り入れることで競争力を向上させてきた。新宿富久店では、そうした“ヨークベニマル流”の取り組みや商品も多く見られる。

総菜売場では「だんらんDELI」「コンビDELI」など“ヨークベニマル流”の提案をするほか、冷総菜の一部に同社子会社で総菜の製造・販売を行うライフフーズ(福島県)の商品を導入している
総菜売場では「だんらんDELI」「コンビDELI」など“ヨークベニマル流”の提案をするほか、冷総菜の一部に同社子会社で総菜の製造・販売を行うライフフーズ(福島県)の商品を導入している
ヨークベニマルの食提案型の売場づくりも積極的に導入。写真は主通路で展開するコーナーで、加工肉やチーズとともにワインを陳列している
ヨークベニマルの食提案型の売場づくりも積極的に導入。写真は主通路上で展開するコーナーで、加工肉やチーズとともにワインを陳列している
ヨークベニマルと連携し開発しているミールキット。ヨークの新店1号店として5月に開業した「ヨークフーズちはら台店」(千葉県市原市)から導入している商品で、売れ行きは好調だ
ヨークベニマルと連携し開発しているミールキット。ヨークの新店1号店として5月に開業した「ヨークフーズちはら台店」(千葉県市原市)から導入している商品で、売れ行きは好調だ

「ニューオペレーション」で作業効率化も同時に推進!

 店内加工や提案型の売場づくりに注力するとともに進めるのが、生産性の向上だ。

 「ヨークマート」では、トヨタ生産方式の「カイゼン」の考えを取り入れた作業改善施策「ニューオペレーション」を推進しており、ヨークはこれに今回統合したDS「ザ・プライス」のローコスト運営の施策も導入しながら、店舗オペレーションのいっそうの効率化を図る考えだ。

省力化の一環として、新宿富久店ではデジタルプライスカードを導入している
省力化の一環として、新宿富久店ではデジタルプライスカードを導入している

 ヨークは今後、同店での成功例をほかの都市部立地の「ヨークフーズ」に導入していく計画だ。セブン&アイのグループ力を発揮することで、首都圏の都市部立地でも存在感を発揮できるか。まずは新宿富久店がその試金石になると言えるだろう。

 

【ヨークフーズ新宿富久店 概要】
住所          東京都新宿区富久町17 -2
営業時間        10:00~23:00
売場面積        1648㎡
取り扱いSKU数     約9800SKU
従業員数        86人(うち正社員21人)
駐車台数        47台 

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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