コンビニのPB強化が進むなかでファミリーマートがあえて慎重になる理由

上阪徹
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加盟店が楽しく販売できる企画 

 PBにして、ファミリーマートブランドで売るという一辺倒ではなく、堂々とメーカー名で売ろう、ということだ。あるいは、ファミリーマートとのダブルネームで売る。すでに、そのトライアルは始まっている。新たな付加価値を生み出すのだ。

「そうすれば、メーカーさんだって燃えると思うんですよ。メーカーさんは、自分たちの会社に、ブランドに、誇りを持っているわけじゃないですか。その現実に気づかないといけない」

 一方でファミリーマートには、店舗という付加価値がある。全国1万6500店の店頭の発信力は驚異的なものがある。この付加価値を活かして、共同で商品をつくっていくのだ。
 この付加価値を活かした新しい取り組みが2018年からすでに始まっている。さまざまなカテゴリーの有名ブランドのメーカーとコラボしたキャンペーンを月替わりで企画したのだ。

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「春のお菓子、夏のドリンクなど、そのカテゴリーが一番売れるときに、一番売れるメーカーさんと、これまで以上に強力なタッグを組んで、お客さまや加盟店さんに喜ばれる施策を毎月、実施していくんです」

 協力メーカーに選ばれたメーカーに対しては、社長の澤田自ら、「この月は、みなさんの月です。一緒に売り場を盛り上げるために考えていきましょう」と提案するという。

「そして加盟店さんにもモチベーションを上げて取り組んでもらうために、キャンペーンで頑張った加盟店さんを、報奨する仕組みをつくりました」

 これには加盟店からも大きな反響があった。報奨には、海外視察やメーカーの工場見学なども組み入れられ、いままでのキャンペーンにはない規模だったという。

「森永製菓さんのチョコボールとファミチキ先輩が組んで、『キョロチキ先輩』というキャラクターを新たにつくったんです。これから、こういう仕掛けもやりますよ」

 これまでのレビューを踏まえて、仕組みや仕掛けもどんどん変えていく。来店客にどれだけ響くのかという視点に加えて、加盟店が楽しんで販売する企画になっているかという点を何より重要視しているのは澤田らしい売り場改革だ。

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