アフターコロナをアパレル産業が生き抜くための起死回生策「マルチプラットフォーム戦略」の全貌

河合 拓
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マルチプラットフォーム戦略とは?

metamorworks / iStock
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 私が提唱する「マルチプラットフォーム」とは、企業間を超えた合従連衡をつくることである。ユニクロは国内だけで1兆円の売上があり、もはや規模の経済でも自動化でも日本のアパレルは追いつけないほど遙か彼方に行ってしまった。

 しかし、仮に1500億円の企業が5社集まって、共通部分を共有化すればどうなるか。7500億円の企業連合ができあがり、規模だけでいえばファーストリテイリングと遜色ない。他の産業、たとえば自動車産業では当たり前に行われている複数の企業群による連合をつくるのだ。企業の人事、総務、経理などはどこもそれほど特異な仕事をしているわけではない。それなのに、「専用伝票」などという奇妙な5枚複写の伝票がばらまかれOEMを受託している商社は、数百とある専用伝票の手書きと違算処理だけで恐ろしいほどの人件費を使っているのだ。

 他産業では、こうした業務は競争相手とでさえ標準化している。それらをアウトソーシングし、自社の固定費を変動費化することで不況でも戦えるコスト構造を持ち、世界化を遂げているのだ。さらに、アパレルの営業活動に目を向ければ、素材、物流、工場背景などは、数十もある赤字ブランドがバラバラに発注するのでなく、これらを纏めて大きなな塊で発注すればバイイングパワーもいかせる。こうした検討は実は30年前から行われ、アパレル企業の中に生産会社を別機能として持ち、発注をまとめる動きがでているが、全くうまくいっていない。

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