日本のアパレルの半数が消滅!?コロナではなく支離滅裂な政治に殺されるアパレル業界

河合 拓
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的外れで弱腰な政策は日本のお家芸

 このように、年商100億円の企業でひと月に3億円。10億円の企業でも3000万円である。某県では3000万円の無利子融資を実施しているが、それさえ、ストレートにいわせてもられば「ケタが違う」のである。ましてや政府の行う「一律10万円支給」や「布マスクの配布」など、まさに冗談の世界だ。このままでは、コロナに殺される前に経済に殺される日が来るだろう。

 日本の政策はいつも対応が遅く、玉虫色で強制力を発揮しない。海外を見れば、ドバイなどではクルマに二人で乗っていれば罰金をとられるというほど強烈に国民の動きを制御している。日本は、未だにパチンコ屋が空いており、未だに会社に通っている人もいる。なぜ、もっと強い強制力とペナルティをださないのか。

 論理的に考えて、国民を全く動かさない状況をつくって、コロナ潜伏期間である二週間経てば感染者と非感染者が明確になる。そして、感染者のみを対象に医療政策を行えば問題は解決するだけの話だ。それを、不急不要の、とか、自粛を、など、いわゆる玉虫色の言葉を使い、ロックダウンを避けている結果がこのザマだ。ウイルスは見えないまま、夜遊びを繰り返す人、なんの責任感ももたずにパチンコ屋に集まる人などを伝ってどんどん感染し、また、彼らが街を闊歩することでさらに広がってゆく。

 流通業界は、日本の総雇用の16%を占める重要産業である。このままでは、コロナに殺される前に政策に殺されるだろう。政府は海外のように強烈なペナルティを課す政策を速やかに実施し、国民を2−3週間、絶対に動かさないようにし、まずは、明確に感染者と非感染者を明らかにした後で感染者の方のみ医療を行い、非感染者たちに早急に経済活動を再開できるような政策をとるべきだろう

 現在の政策は、日本の中でたった10%しかないECでものを買えといっているわけだから、90%の人に対して「死になさい」と言っているのと同じだ。例えば、専門店と呼ばれる店舗には、お店と自宅が同じ家屋にあるところ、自電車で通勤できる店舗は山のようにある。政府は、「日本人は全員、半蔵門線に乗って大手町あたりに通勤している」とでも思っているのだろうか?社数でいえば99.7%は中小、零細企業なのだ。従順な日本人を対象に、こんな大企業前提の政策を続けていては、笑うのはAmazonだけだ。同社は米国では人が足りないほど商売繁盛で、他産業から人員をレンタルしているほどだ。日本の血税は、全てAmazonなどの海外企業に流れるだろう。

 このままでは、コロナに殺される前にアパレル業界は医療崩壊でなく、産業崩壊を起こすだろう。政府は至急、(見識のある)有識者を集め産業別の対応策を検討すべきである。私も、何度か呼ばれるが、表にでてくる人間はいつも同じで老人ばかりである。聞けば「彼らを前にださないといろいろあるのだ」という。私はやる気を失い、お手伝いを辞めたこともある。しかし、もう一度呼ばれれば、企業再建の裏側をみてきて、誰にも負けないノウハウと情報をもった私は協力を惜しまないつもりだ。

 次回は、このような産業の実態を顧みない政策が続けばどうなるか、そして、本来どのようにすべきかを提言したい。

プロフィール

河合 拓(事業再生コンサルタント/ターンアラウンドマネージャー)

河合拓氏_プロフィールブランド再生、マーケティング戦略など実績多数。国内外のプライベートエクイティファンドに対しての投資アドバイザリ業務、事業評価(ビジネスデューディリジェンス)、事業提携交渉支援、M&A戦略、製品市場戦略など経験豊富。百貨店向けプライベートブランド開発では同社のPBを最高益につなげ、大手レストランチェーン、GMS再生などの実績も多数。東証一部上場企業の社外取締役(~2016年5月まで)

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