アフターコロナの小売像その1 「ドライブスルー」の可能性

ライター:森谷 信雄
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イオンも5月からドライブスルー対応店舗を拡大

 食品小売業で、ドライブスルーによる商品の受け渡しに踏み切ったのはイオン(千葉県)グループだ。イオン琉球では、4月11日から「イオン南風原店」(沖縄県島尻郡)で、ネットスーパーで注文した商品を店舗の専用スペースで受け取ることができるサービスを開始している。

イオン琉球では4月から店の駐車場スペースの一角でネットスーパー商品の受け渡しをスタートしている(写真提供:イオン琉球)

 イオン琉球では「ネットスーパーの利便性を高めるため、1年ほど前からドライブスルーの構想があった」(同社担当者)という。現在は1日当たりの上限である30件をドライブスルーで受け渡ししており、予約枠が連日埋まるほどの盛況ぶりをみせている。通常3000~5000円だった客単価は、この騒動によって5000~8000円まで上がっているとのことだ。

 イオンリテール(千葉県)が運営する「イオン羽生店」(埼玉県羽生市)でも、ドライブスルーによる商品の受け渡しを開始しており、5月1日から北関東や愛知県の店舗にも広げていくとしている。

ドライブスルーがネットスーパー事業の収益を左右する?

 イオンは19年11月に、英ネットスーパー大手のオカドと戦略的パートナーシップを結んでおり、倉庫型ネットスーパーの本格展開する方針を打ち出している。ネットスーパーで受注した商品をお客の自宅まで届けるか、それとも店舗で受け取ってもらうか。物流コストを考えると、このあたりがネットスーパー事業の収益を左右すると思われる。今回のドライブスルー導入は、単なるコロナ対策というだけでなく、ネットスーパーのラストワンマイルの効率性を検証するというねらいもありそうだ。

 海外に目を向けてみると、米ウォルマートでは2020年末までにネットスーパーで注文した商品を店舗で受け取れる「カーブサイドピックアップ」を全米3100店に拡大する方針を打ち出している。米スーパー大手のクローガーもドライブスルーサービスを拡大しつある。

 コロナショックは、国内小売におけるドライブスルー拡大の契機となるか。動向に注目が集まっている。

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