ファミリーマート×フィットネス「複合店化」でみえたコンビニ併設業種の可能性

梅澤聡 流通ジャーナリスト
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 ランドリー市場は成長期にあり約2万店が出店している。将来的にはコンビニの数に近づくと する予測もある。 これら二つのサービス施設とコンビニとの相性を、別の視点から検証してみよう。 24時間フィットネスジムは、コンビニと同様に、欲しいときに(体を動かしたいときに)、 欲しい商品を(使用したいマシンを)、欲しい量だけ(トレーニングしたい時間だけ)、購入で きる(ジムを利用できる)と、両者が掲げる利便性の高さが一致している。

 もう一つのFamima Laundryについても、欲しいときに(洗いたいときに)、欲しい商 品を(使用したい洗濯機や乾燥機を)、欲しい量だけ(洗濯したい量だけ)、購入できる(洗濯 できる)と、利用者のニーズが一致している。

「人手不足」をいかに解消できるか

ファミリーマートによると、コインランドリー市場は「共働き世帯や単身世帯の増加にともない、日中に洗濯をできない方や、週末にまとめて洗濯する方が増えていることに加え、都市部を中心としたタワーマンションなどでは洗濯物を屋外に干すことができないなどから、年々拡大している」状況で、「セルフサービス式で、自宅では洗うことが難しい 布団なども手軽にお手頃な価格で洗濯できることから、主婦を中心とした女性に支持を得ている」という。 またファミリーマートでは、約5800店にイートイン施設を設置しており、待ち時間 に店内で飲食をする客など併設店への売上増にも期待をかけている。

コンビニチェーン進化史書影
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今後、コンビニは、どういった業種とコラボが可能なのか。アイデアレベルではいくらでも出てくるが、コラボする相手が、コンビニの強みである二四時間営業を活かさなければ、効果は十分ではないし、仮に24時間対応しても、深夜帯の「人手」が新たに発生するのであれば長続きはしないだろう。

 女性の就業率が上昇するにしたがって、本来は昼間に利用していた施設やサービスの使 用が難しくなり、夜間でも安心して出入りできる施設を探し求めるニーズが強くなる。その際に夜間の「人手不足」が大きな壁になる。

だからこそ、コンビニ店舗のスタッフは基 本的にはノータッチが前提になる。紹介した24時間フィットネスジムも24時間コインランドリーも、それをクリアしている。

 コンビニは、既存の業種の商品やサービスを店に取り込む中で市場を拡大してきた。現在は有人サービスであっても、AIの活用により、将来的に無人になるサービスも出てく るかもしれない。どれだけ知恵を働かせて夜間の人時を削減できるのかが、コンビニ店舗にとっても併設する異業種にとっても、これからの成長に欠かせない視点となるだろう。

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