キリン堂ホールディングス(大阪府:以下、キリン堂HD)は4月14日、テレカンファレンスで2020年2月期決算説明会を開催した。既存店売上高が対前期比2.1%増と堅調で、経費コントロールに注力したことにより営業利益は同37.5%増と大幅に伸長した。決算説明会では2023年2月期までが期間の第3次中期経営計画も好評した。
売上高、利益ともに過去最高を更新
キリン堂HDの2020年2月期業績(連結)は、売上高は対前期比2.8%増の1332億円、営業利益は同37.5%増の27億円、経常利益は同26.5%増の37億円、当期純利益は同21.5%増の17億円と増収大幅増益となり、売上高、利益ともに過去最高を更新した。
既存店売上高が対前期比2.1%増と好調だったことが増収の要因だ。
第1四半期(19年3月~5月)は花粉症関連が好調に推移したが、第2四半期(同6月~8月)は7月の長雨が大きく影響し、UVケア関連、熱中症対策関連などの販売が不調だった。第3四半期(同9月~11月)は消費税増税があった影響で、駆け込み需要とその反動減があったが、増税の影響は第3四半期中にほぼなくなった。第4四半期(12月~20年2月)は引き続き暖冬の影響で感冒薬やカイロの販売が不調だったが、花粉症関連の売上が早期に立ち上がり、また新型コロナウイルス感染拡大によるマスク、消毒用アルコールなど衛生用品の需要が急増した。
期中に70店舗の既存店を改装した。結果、既存店売上高は同2.1%増、客数は同0.3%減、客単価は同2.5%増となった。
粗利益率は対前期比0.3ポイント改善し27.1%となった。
医薬品の粗利益率が1ポイント改善!
部門別の販売動向は、「医薬品」はプライベートブランド(PB)商品の販売が好調で粗利益率が対前期比1ポイント改善し、全体の粗利益率向上に貢献した。「健康食品」は下期からサプリメントが好調に推移したものの、ダイエット関連や夏季の熱中症対策関連が不振で売上高は同2.8%減となった。「化粧品」は19年11月にPB「Ki-reise(キレイズ)」シリーズをリニューアル発売。販売は好調で同シリーズはリニューアル前と比べて売上高が30%増となった。しかし制度化粧品が消費税増税後の落ち込みの回復が遅れており、「化粧品」の売上高は同2.1%増にとどまった。「雑貨等」は販促の見直しにより粗利益率が同0.6ポイント改善し全体の粗利益率向上に貢献した。「調剤」は売上高拡大によって構成比が高まり、全体の粗利益率向上に寄与した。
販売費及び一般管理費(販管費)はやや計画を上回っているものの、全体ではコントロールできたとしている。
出退店の状況は、新規出店はドラッグストア8店舗、調剤薬局4店舗の計12店舗を出店した。調剤薬局4店舗を譲受。14店舗を閉店した結果、期末店舗数は371店舗となった(処方箋取扱店舗は調剤薬局併設53店舗、調剤薬局45店舗の計98店舗)。
2021年2月期業績(連結)は、売上高1342億円(対前期比0.7%増)、営業利益31億円(同13.0%増)、経常利益39億円(同5.1%増)、当期純利益18億円(同4.1%増)を見込む。
決算説明会では、第3次中期経営計画(2020年3月1日~2023年2月28日)も公表した。
2023年2月期の業績目標は、売上高1485億円(対20年2月期比11.4%増)、営業利益47億8000万円(同70.9%増)、経常利益56億1000万円(同51.2%増)、当期純利益28億4000万円(同58.9%)、ROE(自己資本当期純利益率)13%以上だ。
同社は成長のための重点課題として、(1)キリン堂公式アプリを利用した顧客戦略、(2)未病対策提案を軸としたH&BC(ヘルス&ビューティケア)の強化、(3)作業の効率化、(4)お客さまの「利便性」向上の売場改装、(5)処方箋取扱店舗数の拡大、(6)関西ドミナントの深耕――の6つを掲げている。