新型コロナウイルス禍 ドラッグストアで食品の欠品が増える理由と対策

郡司昇(店舗のICT活用研究所代表)
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補充するまでの間にすべて売れる

③荷出し・補充が間に合わない

 DgSSMよりも商品回転率が低い。そのため、DgSの棚は一般的にSMよりも奥行きが浅いものを使用することが多い。

 食品コーナーの什器だけ棚の奥行きを深くするなど工夫をしているところは別として、店舗内をほぼ同じ什器で構成している店では、カップ麺などがケース入数の20個入荷したときに20個全部並ばずに、棚上在庫スペースか倉庫に持ち帰ることとなる。棚に8個並ぶとして、通常時は1日数回補充作業をすれば問題がない。

 ところが、まとめ買いが発生する事態になると、補充するまでの間に8個全部売れてしまうことが多くなる。補充頻度を増やして対応することになるが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でそうはできない状況になっている。電話も含めたマスク等問合せがここで影響しているのである。「#ドラッグストアの現状」タグでTwitterを検索してみていただきたい。開店前からのマスク対応で店舗従業員は疲弊しきっている。

 対策としては、食品コーナーの棚の奥行きを深くする方法と、SKU数を絞り込んで1SKU当たりの陳列個数を増やす手法が考えられる。

  繰り返しになるが、DgSの店舗従業員は疲弊している。店舗従業員の心身両面における負担を少しでも軽減するために、問合せを本部コールセンターに集約する、本部スタッフはリモートワークの仕組みを検討する前に店舗の品出し応援に行く等、本部・店舗が一体となってこの事態に取り組む必要がある。

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