臨時ボーナスにソーシャル・ディスタンス…コロナと戦う!イオン、ライフなど食品小売業の対策最前線

松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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ソーシャル・ディスタンスの取り組みが小売各社で進む

レジ前ではソーシャルディスタンスを確保することが求められている
レジ前ではソーシャルディスタンスを確保することが求められている

 緊急事態宣言の発令後、日本でも小売業を中心に「ソーシャル・ディスタンス」に取り組む企業が増加している。ソーシャル・ディスタンスとは、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するために世界各国で採用されている公衆衛生戦略である。人と人との間の物理的な距離を保ち、接触機会を減らすことで、新型コロナウイルスが飛散する機会を低減させるというものだ。

 首都圏を中心に、イオンやセブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長)、マルエツ(東京都/古瀬良多社長)・カスミ(茨城県/山本慎一郎社長)・マックスバリュ関東(東京都/手塚大輔社長)の3社を傘下に持つユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都/藤田元宏社長)、ライフ、サミット(東京都/服部哲也社長)、いなげや(東京都/本杉吉員社長)などの小売各社も続々とソーシャル・ディスタンスの取り組みを開始している。入店制限やレジ待機列の間隔確保、イートインスペースの閉鎖、レジでのビニール状の仕切りの設置などを実施し、来店客だけでなく従業員の感染拡大防止に努めている。

 日本ではレジ列での間隔の距離や入店者数の制限などは各企業が独自に設定しているが、より感染拡大が深刻化しているアメリカでは、ロードアイランド州が入店者数を売場面積150平方フィート(約13.9㎡)あたり1名に制限するほか、利用者同士が6フィートの距離を保てるようフロアシールなどで明示するなど、地方自治体が具体的な数値まで設定している場合もある。

米クローガーの新型コロナ対策
米SM最大手のクローガーは、入店者の管理に赤外線モニタリングシステムを活用する

 米SM最大手のクローガー(Kroger)は、入店者数の管理に以前から導入していた赤外線モニタリングシステムを活用し、120平方フィート(約11㎡)当たりの入店客数が1人を超えないように管理している。以前からデジタル化を推進してきた企業を中心に、ITを活用してソーシャル・ディスタンスに取り組む事例も増えそうだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためには、可能な限り人との接触を避けることが有効だとされている。しかし、国民の最低限の生活を維持するために営業を継続している小売店で働く従業員は、平時よりも業務過多になりがちなことに加え、多くの来店客と接するため常に感染のリスクに晒されている。緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大されるなか、今後は小売店の従業員に加え、医療従事者や電気やガス、水道といったインフラ関係者など、現場で働く人々へのサポートやケアがますます重要になるだろう。

記事執筆者

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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